ーまるでお城みたいに、高くて真っ白な塔。私もあそこの住人の、一人になれたなら…。
ずっと遠くから眺めていた、憧れのタワーマンション。柏原奈月・32歳は、ついに念願叶ってそこに住むこととなった。
空に手が届きそうなマイホームで、夫・宏太と二人、幸せな生活を築くはずだったのに。
美しく白い塔の中には、外からは決してわからない複雑な人間関係と、彼らの真っ黒な感情が渦巻いていたー。
憧れのタワマン暮らしを始めた奈月。元不倫相手が同じマンションに住んでいることを夫に隠していたが、相手の妻からの突撃にあい、ついに夫に真実を打ち明ける。
しかし、夫は家を出て行ってしまい…
コンシェルジュ・吉岡多香子の企み
「いってらっしゃいませ」
お出かけになる4階の松田様に向かって、私は頭を下げました。毎日きっちり16時にお出かけになるので、時計を見なくても時間が分かります。
そろそろ休憩にでようかと、カウンター下に忍ばせたスマホに目をやると、ちょうど宏太さんからの返信が届きました。
......
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この記事へのコメント
何この男とコンシェルジュ。
痛い目に遭ってしまえ!
こうたとたかこ、いい加減にしろ。