ーまるでお城みたいに、高くて真っ白な塔。私もあそこの住人の、一人になれたなら…。
ずっと遠くから眺めていた、憧れのタワーマンション。柏原奈月・32歳は、ついに念願叶ってそこに住むこととなった。
空に手が届きそうなマイホームで、夫・宏太と二人、幸せな生活を築くはずだったのに。
美しく白い塔の中には、外からは決してわからない複雑な人間関係と、彼らの真っ黒な感情が渦巻いていたー。
憧れのタワマン暮らしを始めた奈月だったが、元不倫相手が同じマンションに住んでいることに加え、差出人不明の黒い手紙の犯人が隣人だと判明し驚きを隠せない。更に、突然元不倫相手の妻から呼び出され…
「お忙しいところ、突然お呼び立てして、申し訳ありません。」
最上階の美しき女帝は、堂々たる態度で奈月の目を見つめる。
喫茶店の一番奥で、奈月は永田の妻と向き合っていた。横に座る永田は、いつになく居心地が悪そうで、奈月にチラリと目をやるが、すぐに顔を伏せてしまった。
......
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この記事へのコメント
毎回旦那になんかむかつくわ
過去のことだし、打ち明けてくれた妻を支えるという考えには至らなかったの?自分が逃げてるだけじゃん。