ーまるでお城みたいに、高くて真っ白な塔。私もあそこの住人の、一人になれたなら…。
ずっと遠くから眺めていた、憧れのタワーマンション。柏原奈月・32歳は、ついに念願叶ってそこに住むこととなった。
空に手が届きそうなマイホームで、夫・宏太と二人、幸せな生活を築くはずだったのに。
美しく白い塔の中には、外からは決してわからない複雑な人間関係と、彼らの真っ黒な感情が渦巻いていたー。
憧れのタワマン暮らしを始めた奈月だったが、元不倫相手が同じマンションに住んでいることが判明し、さらに、差出人不明の黒い手紙が、送られて来て窮地に立たされる。遂に犯人を見つけた奈月は、その正体に驚愕するのだった。
真瀬ママが、罪を犯した理由
柏原夫妻がうちにご挨拶にいらした時、ふと、かつてこのマンションにいた、あるご夫婦のことを思い出しました。
お二人とも広告代理店にお勤めで、華やかな雰囲気のそのご夫婦は、いまの柏原夫妻と同じ部屋に住んでいました。
そのころの私は、娘の子育てに四苦八苦する毎日を送っておりまし......
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