12星座の女たち Vol.2

12星座の女たち:忘れられない男が残した、深い傷跡。過去の恋に苦しむ28歳女の運命の行方

明治通りに植わった桜が満開を迎える度、玲奈は“あの日”のことを思い出す。

「もう、玲奈の気持ちには答えられない。別れよう―」

松江は玲奈の瞳をまっすぐに見据えて、いつも通り表情を崩さずそう切り出した。忌々しいほど満開に咲いている桜が、はらりはらりと花びらを散らし、茫然としているうちに彼は去った。

松江とは会社の忘年会で知り合い、一か月以上猛アタックを受けた。そしてそれに折れる頃、玲奈は情熱的な彼にすっかり恋していたのだ。

しかし、付き合い始めてしばらくすると二人の関係は徐々に噛み合わなくなった。

「仕事が押している」と言って、デートをドタキャンされたり、電話をかけても通じなかったり。最終的にはLINEさえ、既読がつくまで24時間かかるようになった。

それでも、玲奈は松江に文句ひとつ言わず、たまに顔を合わせればねぎらいの言葉さえかけていたのに。

別れの理由も理解できないまま、気が付けばもう2年もの月日が経つ。

そして先日…。松江が社内恋愛の末に婚約したと風のウワサで知ったのだった。


松江がまだ玲奈を熱心に口説いていたころの思い出に浸りながら、自宅までの道のりを歩いていると、トレンチコートのポケットに入れていたスマホが震え着信を知らせた。

2年経った今も、真夜中に着信があると松江からのメッセージではないかと期待してしまう自分が嫌になる。

しかし、実際に表示されているのは玲奈の隣で黙々と食事をしていた、坂下という男の名前だった。

『今日はありがとうございました。無事に帰れましたか?』

初対面の印象通りの堅苦しい雰囲気の文面に、玲奈は思わずため息が出る。グループLINEではなく、わざわざ玲奈に個別でメッセージを送ってくれたのだけれど、それに返信する気力もわいてこない。玲奈はスマホをポケットに押し込んだ。

―そういえば、松江君が私に連絡をくれた時も、こっそりLINEしてくれたっけ

別れているはずなのに次に進むどころか、何をするにしても松江の影がちらついてしまう。

あんなに苦しい思いをしなくちゃいけないなら、そんなのはもう懲り懲りだ。

―あの占い、全然当たらないじゃない…。

新しい出会いの予感、と3つのサイトに書かれていたけれど、そのどれもが大外れだった。玲奈にとって今夜は、余計に松江を思い出すことになってしまったのだから。

しかし、それでも玲奈は自宅に帰ると、ある習慣をやめることは出来なかった。

この記事へのコメント

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No Name
よかった。自分から新しく歩き出せたら幸せになれますよね。
2019/04/22 05:3199+返信1件
No Name
ええ話や〜

ほんと、髪切ると、なんであんなにスッキリするんですかねえー。最短で色んなこと吹っ切れる。
2019/04/22 05:4499+返信1件
No Name
ある日突然吹っ切れる時って来るんですよねぇ。あんなに諦めようとしても諦められなかったのに、ふっと気持ちがなくなる瞬間。
2019/04/22 06:3481返信3件
失恋中
彼が好きだった、私を手放してあげよう

に不覚にも通勤電車で涙ポロリ。。
早くその日がやってきますように。
2019/04/22 07:4958返信5件
No Name
ヨシッ!私も髪の毛切ろう!
おうし座の私…w
2019/04/22 06:0528返信4件
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