シュガー&ソルト Vol.1

シュガー&ソルト:いつしか疎遠になった、幼馴染。突然の“玉の輿婚”の知らせでザワつく28歳女の本音

ミキは菜々子の第一印象どころか、初めはどこで知り合ったのかも覚えていない。同い年で幼稚園が一緒、かつ同じ住宅街に住んでいたので、気がつけば友だちになっていたのだ。

菜々子は自己主張が苦手で大人しかったが、勉強がよくできた。そして派手さはないものの整った顔立ちと凛とした姿勢で確かなオーラを控えめに放っており、おそらくミキは誰よりも早く「菜々子」に気づいていた。


―この子は他と違う、と。


ミキは菜々子ほど勉強ができたわけではなかったが、高校はなんとか同じ、市内のトップ校に入った。

その高校では、テストのたびに上位30名までの成績表が掲示される。ミキは猛烈に頑張って、27位に載ったことがあった。

しかし「塩田ミキ」の名前を見つけ喜んだのもつかの間、遥か先に「佐藤菜々子」という文字が目に入った。少し先にいた菜々子は自分の名前を見つけても、表情を変えることなく、ただ掲示板の前に立っている。

ミキは菜々子の、その凛とした横顔に惹きつけられた。

視線に気がついた菜々子が振り向き目があったとき、ミキは自分がどんな顔をして見つめていたんだろうと不安になって仕方がなかった。



菜々子の魅力に気づく人は、高校生になって増え始めていた。

高校2年生のとき、密かにミキが想いを寄せていた相手が菜々子に告白した。菜々子は丁重に断ったと、ミキは人づてに聞いたのだった。

帰り道、いつものように2人並んでバスに揺られながら、ミキは菜々子の横顔を改めてしっかりと見た。

「どうかした?」

菜々子は不思議そうに見つめてくる。

「ううん、なんでも」

菜々子のくっきりとした二重、綺麗だと認めざるをえない顔立ち。視線をそらして窓の外を見ると、窓には自分の一重の瞳がいつもより鮮明に映っているような気がした。

そしてバスから降りるとき、菜々子の背中を見てハッとした。

ー私はいつもこの子の後ろにいる。

「佐藤菜々子」を抜いて、「塩田ミキ」が前に立ったことは一度もない。

ー「佐藤」の後ろに来るこの名前も、きっと偶然なんかじゃない……。


ミキは自分の中で、本当はずいぶん前から生まれていた気持ちを押し殺すことなく噛み締め、そして誓ったのだった。


いつかこの子を抜き去ってみせる、と。

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