東京コンプレックス Vol.2

東京生まれ・東京育ちには永遠に勝てない。地方出身者が抱き続ける“田舎者コンプレックス”の闇

あの日の食事会以来、私は彼女たちに心を開くのをやめた。

もちろんSNS上や表向きには仲良くしている。

だが、もう彼女たちの話を有り難く聞いて回る必要性を感じなくなったのだ。

付き合いの悪くなった私について、彼女たちはアレコレ噂をしているようだが、あまり気にならない。

その代わり私の周りには、同じように地方から上京し東京で頑張っている友人が出来始めた。


大分県から出てきて、自分で酵素ドリンクの開発をした友人。

鳥取県出身の男友達はWEBメディアを立ち上げ、絵に描いたような東京暮らしを謳歌している。

そんな私たちには共通点があった。

皆、みっともないほどに頑張って、富や名声、分かりやすい成功というものに必死に喰らいついていく。バブル時代みたいだと揶揄されようと、まったく気にしない。

「あの子、ガツガツしすぎだよね」
「本当にすごい野心。真似できない笑」

かつての仲間たちから、影でそんな風に言われているのも知っている。でも、それが私だ。

この野心が私を、愛知県の小さな町からこの大都会・東京に立たせているのだから。

「のぞみ、『味仙』のラーメン食いに行こう」

そう言って笑うのは、忘れもしないあの日の食事会の男性側幹事・真斗(まさと)だ。

私たちは、最近付き合い始めた。

真斗も私も同じ愛知県出身なので、一緒に名古屋グルメを食べ歩いたりしている。

あの夜、内心は真斗に惹かれていたものの、見せかけの友人たちの視線が気になりアプローチできずにいた。

だが後日、どうしても気になって私から連絡し、自然と付き合うようになったのだ。

真斗はたしかに分かりやすいブランド品が好きだし、洗練されたセンスの持ち主とは言えないかもしれない。

だが隣で笑う真斗といると、私はありのままの自分を愛せるような気がするのだ。誰がなんと言っても、私の彼氏はいい男である。

故郷の話で盛り上がれるし、東京での煌びやかな生活は、正当な成功の証として堂々と享受しようという考えも共通している。

私たちは、ごく自然に西麻布の交差点で手を繋ぐ。

緊張もせず、背伸びもせず、ありのままで。


▶NEXT:4月12日 金曜更新予定
都内の新興住宅地。夫の年収を気にする専業主婦・菜々子の深い闇とは

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

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どんな金持ちだって、初代は皆んな成り上がりでしょ。
2019/04/05 05:5999+返信1件
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東京生まれ東京育ち、生粋の謂わゆるお嬢様を何人か知っているけど、起業家タイプは1人もいないから少し意外だった。
2019/04/05 06:1499+返信29件
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両親が地方出身で子供達が港区生まれ
子供達にとっては海外も地方も一緒
そもそも東京に執着はなし
そんなものですよ
東京が東京が言う人達は、NYに住んでみたらいいと思います
結局どこでもムラ社会
自分の居場所は自分で作るものです
2019/04/05 07:1399+返信18件
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田舎出身の私が東京出身者に絶対叶わないな、と思ったのは、
出産、育児への親のサポートです!
保育園に預けられなかった時に親に預けて仕事、なんて私には不可能だったので。
東京出身者を意地悪みたいに仕立てるより、
そういうリアルな話を書いて欲しかったな、と思ってみたり。
2019/04/05 07:4963返信4件
No Name
地方出身の自分の感覚だと、女性は本当の地方出身より名指しで悪いけど、埼玉出身の人の方が東京コンプレックス強い気がする。中高都内とかだとそうでもないけど、高校まで埼玉の公立で大学から都内に通うような人は頑張ってる人多い。
2019/04/05 05:4744返信23件
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