SPECIAL TALK Vol.51

~自分たちの力で業界を変えたい、そんな思いで医療の世界へ飛び込んだ~

大学卒業後に起業。失敗で大赤字も経験

金丸:高校卒業後は、どうされたのですか?

坂野:日本に戻り、帰国子女枠で早稲田大学の理工学部に進学しました。最初のうちは全然ついていけなくて、周りが天才ばかりに見えました(笑)。

金丸:ご専門は?

坂野:応用物理です。半導体などを扱っていたのですが、もう半導体の時代でもないだろうと、アルバイトでプログラミングに精を出していました。

金丸:ご自身で何かソフトを作られたとか?

坂野:はい、作りました。私が所属していた研究室の隣の研究室で"回転寿司占い"というのを作った人がいまして。広告収入で稼いでいたのを見て、うらやましいなと思い、私も"手相占い"を作ってみたんです。そしたら一応ヒットしたので、そこから授業料や生活費を払っていました。

金丸:その頃から商魂たくましかったのですね(笑)。

坂野:そうですね。占いのサイトで稼ぎながら、プログラミングの練習をしたり、教育サイトを立ち上げたりといろいろやりました。あまりうまくはいきませんでしたけど。

金丸:そういえば坂野さんは、サラリーマンの経験がないそうですね。

坂野:大学卒業後は、すぐアルムの前身であるスキルアップジャパンを立ち上げたので。

金丸:そもそも、なぜ起業されたのですか?

坂野:大学時代、学生寮に住んでいたことが大きいですね。基本的にはものすごく貧乏な日本人か、外国人の留学生たちが集まっていて、部屋もベッドと机を置いたらもうおしまいという狭さでした。みんな酔っ払いながら、夜な夜な集まっては朝まで話し込み、とくに留学生たちは「自分の国に帰ったら、国のためにこういうことをやるんだ」と熱っぽく語っていました。

金丸:古き良き時代の学生寮といった感じです。

坂野:私は日本人ですから、自分は日本のために何ができるかなと考えて、思い至ったのがコンテンツ産業でした。アニメをはじめとする日本のコンテンツには力があるといわれていたので、デジタルコンテンツで稼ごうと。

金丸:学生寮の熱気そのままに起業された?

坂野:はい。エンタメを中心に、本当にいろいろと手を出して。「宇宙戦艦ヤマト」のファンクラブ事業もやりましたね。ただ、めちゃくちゃ失敗しましたよ。20くらい失敗が続いて、赤字が15億円というときもありました。

金丸:結構な額ですが、それで終わらなかったということは、成功した事業もあったんですよね。

坂野:そうですね。アパレル通販サイトは月商5億円にまで育てたし、韓流スターのファンクラブサイトやiモードの公式サイトもかなり稼げました。なかでも一番大きく成長したのが、映像配信のプラットフォーム事業で、テレビ局のオンデマンドサイトのシステムを作っていました。2013年に売却したんですけど、当時は国内最大の映像配信プラットフォームでした。

金丸:それはすごい。それも多くの失敗があったからこそ、成功したんでしょう。失敗という経験は本当に大事です。失敗の要因を分析すれば、成功の確率を高めることができる。たとえ小さな失敗をたくさんしたとしても、大きな成功ひとつで覆すことができますから。

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