あの子が嫌い Vol.3

「このレベルの女なら、腐るほどいる…」。無個性に悩む量産型女子が見つけた、ライバル女の意外な弱点

上京してからというもの、私の人生はパッとしない。

地元では「かわいいリカちゃん」と呼ばれ、散々もてはやされてきたけれど。

私程度の女なら、この街にくさるほど居るー。

地元を飛び出し、憧れの人気女性誌への入社を果たした秋吉りか子(29)は、自分の"無個性"にウンザリする日々を過ごしていた。

そんなある日、中途で採用された一人の女が、りか子の前に現れる。ムッチリとしたスタイルに、やたら身振り手振りの大きな帰国子女。

りか子が虎視眈々と狙っていたポジションを華麗にかっさらっていき、思わず嫌悪感を抱くがー。

まるで正反対の二人の女が育む、奇妙なオトナの友情物語。


人気女性誌「SPERARE(スペラーレ)」で編集長の秘書として働く秋吉りか子。ある日突然現れたぽっちゃり女子“小阪アンナ”によって、狙っていた編集部のポジションを奪われてしまう。

更に、2年付き合った彼氏・修一に結婚を匂わせれば「面倒」と言われ、結婚が決まったという幼馴染からは「結局、夢は叶えられたのか?」と尋ねられ…。りか子はますます追い詰められてゆく。


ようやく長期休暇が明けた。

目黒駅の改札を出てコーヒーショップに直行し、オフィスに着いてから郵便物を仕分けして、堅苦しい年始の挨拶メールを大量に送信する。そんな私の冴えない日常が再び始まったのだ。

けれど、久しぶりに帰省した鎌倉で、幼馴染の美香に言われた一言がしこりのように胸の奥に残り続けていた。

「夢は叶えられたの?」という美香の問いかけを、あのタイミングで聞きたくはなかった。

さらに彼女の結婚報告は、予想以上のダメージを私に与えていたのだ。

地道な努力を続け、ようやく手が届きそうに見えたポジションは、突然現れた予想外の人物によって奪われてしまった。おまけに、2年付き合った男には、親への紹介すらしてもらえない。

恋も仕事も、出口の見えない真っ暗なトンネルの中にいるみたいだ。

あの"小阪アンナ"みたいに、社交性と元気の良さや、人の心に残るような個性が私にもあれば、結果は違ったのだろうか。

午前中の作業を一通り終えてMacBookの電源を落とすと、真っ暗な画面には相変わらずパッとしない女の顔がうっすら映っている。

それは間違いなく私なのだけれど、似たようなレベルの女ならそこらじゅうにいるだろう。

誰でもない、何者でもない"私"という存在。

飛び抜けて美人でもなければ、アンナのように強烈な個性があるわけでもない。

要するに、私はこの街で量産されている、そこそこ身綺麗で、そこそこ頑張っている程度の女に過ぎないのだ。

MacBookを閉じ、ため息を一つついてから席を立つ。

今日は、あの日以来ずっと先延ばしになっていた、人事総務の美津子さんとのランチの約束をしている。

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