東京ミッドタウンを対面に、路地を入っていくと、この話題のフレンチがある。
白壁のセンスフルな外観と、港区らしからぬウッディな内装。
まるでアートのようなお皿だと話題のお店がこのお店だ。
もはや、料理じゃない。港区でアートに昇華したひと皿に、歓喜の声をあげる。
『le sputnik』の「フォアグラ・ビーツ・薔薇」
港区で咲き、港区だけで愛でられる薔薇。それが『ル・スプートニク』の、今やシグネチャーディッシュとなった「フォアグラ・ビーツ・薔薇」だ。
まだ食したことがない人でも、その強烈なビジュアルには目を奪われることだろう。
テーブルに運ばれてきた瞬間、この繊細な美しさに歓声をあげるか、あるいは息を呑むかの二択。
ビーツの特性を活かして薄く、湾曲させて〝花びら〞状に仕上げたチュイル生地を、中央部から渦を描くように土台であるフォアグラのテリーヌに差し込んでいき、薔薇を造形する。
真紅のビーツパウダーを上からたっぷりと振りかけ、よりドレスアップ。ご覧の通り、実にドラマティックなひと皿が完成する。
メニューは昼夜ともおまかせコースのみ。シェフ・髙橋雄二郎氏による、華やか、かつ緻密な料理が13〜14品が登場するが、そのいずれもが比類なきビジュアルと味わい。
たとえば「きのこのクレープ」も、ポーチドエッグときのこの香り、温かいクレープと冷たいアイスクリームの温度差が、驚きをもたらす。
髙橋シェフ=薔薇、というイメージが強いが、“ 薔薇超え” を狙えそうな冬のひと皿がこちら!
晩白柚とハーブで「沙羅双樹」の花を表現。飴細工や、立体的な盛り付けを得意とするシェフの真骨頂を存分に発揮した一品だ。
中央にミントのムースを忍ばせてエアリーに仕上げた晩白柚のムースに、飴の花びらやハーブのパウダーをあしらった「アシェットデセール(出来たてのデザート)」は、もはや生け花の領域。
あまりの美しさに、食べるのを躊躇するほどだ。
数あるフレンチの中でも、これほどアーティスティックな店は珍しく、提供されるごとに〝息を呑む体験〞が待っている。
六本木の裏路地にある、こんな店を知っている。それが港区の大人の余裕なのだ。
Photos/Kazuhiro Fukumoto@MAETTICO, Styling/Kohei Kubo, Hair & Make/Saori Hattori, Text/Haruka Koishihara
年末は「港区」でワクワクしたい!
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