2018.11.03
東京のアッパー層を知り尽くし、その秘密を握る男がいる。
その男とは…大企業の重役でも、財界の重鎮でもなく、彼らの一番近くにいる『お抱え運転手』である。
一見、自らの意思などなく雇い主に望まれるまま、ただ黙々と目的地へ向かっているように見える運転手が。
もしも…雇い主とその家族の運命を動かし、人生を狂わせるために近づいているのだとしたら?
これは、上流階級の光と闇を知り尽くし支配する、得体の知れない運転手の物語。
ようこそ…黒塗りの扉の、その奥の…闇の世界へ。
「黒塗りの扉」一挙に全話おさらい!
全話配信中のため、まとめて一気読みでお楽しみいただけます!
第1話:アッパー層の闇と秘密で稼ぐ。『お抱え運転手』が見せる、もう1つの裏の顔
『黒塗りの扉の主は、詮索するべからず』
この街に暮らし、この街で遊び慣れた大人たちは、黒塗りの車から誰が降りてきて、誰が乗り込むのか、例え気になったとしても素知らぬフリをする。だから。
―騒ぎ立てるのはよそ者と決まっている。
騒ぎの元になっている黒いベントレーの運転席で、主人の戻りを待っていた運転手は、そんなことを考えていた。
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第2話:「あの男と何かある…」異変を察知して妻の監視を始める夫。急速に広がる猜疑心と、歪んだ衝動
「利一様をお待ちしている時に、奥様が倒れてしまわれたので。不躾かとは思いましたが、ベッドルームを探させていただき、奥様をお運びしました」
そう言われて、ぐっすり眠っている聡美の穏やかな顔を見ると、騒ぎ立てる気は失せた。けれどイライラは増していく。
妻がこの男に抱かれてこのベッドルームに運ばれたのだと想像してしまうことにも、思わず男の指示通りに自分が黙ってしまったことにも、だ。
この家の主人は自分のはずなのに。
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第3話:夫以外の男と車内で見つめ合った瞬間。唇が触れそうな距離で知らされた、彼の本心
自らの手腕で成り上がった男・環利一(たまき・としかず)。環が、政治家の田宮郷太郎(たみや・ごうたろう)とのポーカーの勝負に買ったことで手に入れたのが、専属運転手の鈴木明(すずき・あきら)だった。
だが実は鈴木は、ある人物からこんな依頼を受けていた。
『環利一を徹底的に壊して下さい』
そして、鈴木が環の自宅へ初めて出勤した日、環の妻・聡美は鈴木に対して、特別な感情を持つ。鈴木と聡美の間に流れる微妙な空気に勘づいた環は、2人を監視するため、2人が乗る車にある仕掛けをするのだった。
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第4話:あの男の嘘を暴いてやりたい。過去の秘密を知られ不信感を募らせた女の、止まらない疑心暗鬼
「聡美の車に、隠しカメラ…? どこに?」
利一は驚いた表情を作り、聞き返してみせる。そのカメラがどこに仕掛けられていたのか、本当は利一が一番よく知っているのだが。
鈴木明と一緒にいる時の妻が、どんな様子なのか。それを自分の目で確認するために、利一がカメラを仕込んだのだから。
「それが…設置されていた場所が、実に巧妙で驚きました。デジタル時計に埋め込まれていた…というより、時計自体が隠しカメラ用に設計されていました。犯人は時計ごと取り換えたとしか思えませんが…。環さま、この車の時計は、最初からこれでしたか?」
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第5話:時代の寵児と呼ばれた男の、知られざる過去。子持ちバツ1女性を妻にするに至った、強烈なる欲望
「明ちゃんと美味しい酒を飲みながら、サシで話してみたいんだけど」
数日前、利一がそう言って鈴木を誘うと、いつもの通り従順に、承知しました、と言っただけだった。
ー鈴木明は、自分と聡美を別れさせるためにきた。
調査資料を読んだ利一は、そう確信した。だから今夜…誰の邪魔も入らぬ別荘を選び、鈴木と2人きりになったのだ。
第5話の続きはこちら
第6話:「2人きりでお会いしたい」。男からの意味深な誘いに、疑惑を抱えながらも揺れ動く女心
利一はレコードでもかけようかと思っていたが、やめることにした。
正確に言うと、これからのシチュエーションにふさわしい曲が思い浮かばなかったのだ。
―こんなことは初めてだな。
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第7話:すでに罠に堕ちているのは、夫か妻か…。ジリジリと追いかけてくる、規則正しい革靴の音
スリルも駆け引きも嫌いじゃないが、よくもこう得体の知れない人物ばかりが周りに集まるものだと、利一はふと自虐的な気分になった。
―まあ、俺も人のことは言えないんだろうけど。
「環さん、僕がどんな人でなしであろうと、そんなことは絶対にしませんよ」
軽かった佐藤の口調が少し尖り、強くなった。利一が沈黙で先を促すと、すぐに続けた。
「利用できるものは全て利用しますが、この僕が…裏を取らないと思います?それに環さん忘れたわけじゃありませんよね?以前お伝えした“悪魔”ってキーワードのこと」
第7話の続きはこちら
第8話:妻はなぜ、この男と通じ合う?ついに牙をむいた、運転手の陰謀
「…奥さまからなんです」
困った顔でそう言った、運転手・鈴木明の手の中で鳴り続ける電話。その着信画面は、環利一の方へ向けられており、ディスプレイが表示しているのは彼の言葉通り〝環聡美さま〟という文字。
ありきたりな着信音のはずなのに、酷く耳障りに聞こえる。利一は、聡美が絡むと感情がざわざわと波立つ自分を思い知らされたようで、気分が悪かった。
利一がどう返すか迷っている間に電話は切れた。
第8話の続きはこちら
第9話:夫に内緒で、運転手との駆け引きに応じた妻。その先に待つのは破壊か、それとも・・・?
『君は、人が何を求めているのかを恐ろしい程に察知する。だからこの仕事に向いている』
ある人物に、そう言われた。その人が鈴木を運転手にスカウトし、今の鈴木が作られた。だが。
『鈴木、君は自分に興味がなさすぎる。それに欲望というものが見えない。どうしても欲しいと思うものはないのか?』
出会ってから8年が経ったというのに、鈴木は未だにその質問に答えてはいないし、思いついてもいない。
今回の仕事が終われば、また彼に呼ばれることになるが、その時にはまた問われてしまうのだろう。そう思うと鈴木は、少し面倒な気持ちになる。
第9話の続きはこちら
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