“彼好み”に合わせてた女が、恋の断捨離を決意した瞬間。男の言った、聞き捨てならない一言とは
声の主を振り返ると、芽衣より少しだけ年上と思われる、身のこなしの非常にスマートな男性がこちらを見て微笑んでいた。
「あ、ありがとうございます」
頬を赤らめた芽衣が小さく答えたが、イタリア男の大声に遮られてしまった。
「日野さん!来てたんですネ」
「こんばんは、ロマーノ。そちらの女性の後で構わないから、僕にジャケットを選んでくれないかな」
“日野さん” “ロマーノ”と呼び合う二人の会話から、芽衣は関係性をようやく理解した。
なるほど。この陽気なイタリア男は、どうやらセレクトショップのファッションコーディネーターであるらしい。そして芽衣に声をかけた日野という男は、おそらくこの店の得意客なのだろう。
すると、こっそり様子を伺っている芽衣に気づいた日野が、改めて会釈とともに近づいてくる。
そしておもむろに名刺を差し出すと、こんなことを言うのだった。
「これも何かのご縁ですから。私、日野陽介(ひの・ようすけ)と申します。
それにしても本当によく似合ってます。自分らしいファッションは、女性を輝かせますね」
断捨離の夜
セレクトショップで思いがけぬ出会いがあった、その週末のことだ。
再び長谷川から誘いがあり、芽衣は逡巡したのち、彼の家の近くにあるビストロでディナーをともにしていた。
乾杯をしてからしばらくは彼の仕事の話を聞いて…その後で、芽衣は思い切って口を開く。
「私ね、実は…傘下のセレクトショップで、事業拡大に携わることになったの」
相談ではなく報告の形式をとったのは、芽衣の中でもう心が決まっていたから。
しかし案の定、長谷川は芽衣の決断に難色を示した。
「セレクトショップ…?しかも事業拡大って、芽衣ちゃん、今より仕事忙しくなったら、俺が会いたい時に会えないじゃん」
−俺が会いたい時に会えない、とは?
その瞬間、芽衣の中で何かがプツリと音を立てた。
「あははは」
思わず、笑いがこみ上げる。
−って言うか、もう二度と会うことなんてないし。
芽衣は心の中で、長谷川にそう毒づくと、たった1時間ほどであっさりと席を立ってやったのだった。
◆
長谷川と別れて帰宅すると、芽衣は心から清々しい思いでYOOX(ユークス)のアプリを開いた。
わくわくしながらアイテムを次々スクロールしていくと、なんと先日セレクトショップで試着したオスカー・デ・ラ・レンタのドレスがあるではないか。
しかも店頭で見た価格より割安になっており、芽衣は迷わず購入ボタンを押すのだった。
ーもう、誰に遠慮する必要もない。好きな服を、好きなだけ楽しむんだから…!
ようやく吹っ切れた芽衣は、そのほかにも自分のセンスに引っかかるアイテムを次々と買い物かごへ放り込む。
YOOXでは、普段では少し尻込みしてしまう価格のハイブランドの洋服や靴が、常にSALEのような価格で買える。芽衣は、今まで長谷川に遠慮して好きなものを買えなかった鬱憤を晴らすかのごとく、とにかく買い物を楽しむことにした。
するとそこへ、未登録の番号から着信が入った。
−これって、もしかして…?
恐る恐る「応答」ボタンを押すと、聞こえてきた声は、やはりあの男のものだった。
▶NEXT:10月19日 金曜更新予定
最終回。芽衣に連絡してきた“あの男”とは?
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