セカンドの逆襲 Vol.15

「彼って、こんなに薄っぺらい男だった…?」セカンド女が、浮気男への盲目愛から目覚めた瞬間

逆襲への序章


私は自分自身をぼんやりと振り返りながら、拓斗の話に愛想笑いを浮かべる。すると突然彼から起業の話を振られ、我に返った。

「何とか軌道に乗り始めたところかな」

当たり障りなく答え、曖昧に微笑む。どうせ彼に話したところで、自分の話にすり替えられて終わるのが関の山だろう。

すると、なぜだか彼の目が急に真剣になった。そして、こんなことを言い始めたのだ。

「もう一度、やり直さないか?」


この言葉を、どれほど待ちわびていただろうか?少し前の私なら、迷わずこの陳腐な展開を受け入れ、また同じことを繰り返していただろう。

でも、彼を見返したいと本気で思ってからは、この言葉を違う意味でずっと待っていた。

「…拓斗…。そう言ってくれて嬉しい。でも…、梓さんは?私もう、二股なんて嫌よ?」

「梓とは、もう終わったよ。まぁ、向こうは納得していなくて、いまだに連絡が来るけど…。今度こそ、香織だけを大事にするよ」

彼がこれまで見たことがないほどの神妙な面持ちで答える。だけどなぜか、安っぽいドラマの俳優を見ているかのように思えた。

「ほんと?でも、どうして梓さんじゃダメだったの?私は梓さんなら、と思って身を引いたのに…」

「梓は…なんて言うか、気が強くて女王気質なところがあって、正直疲れたんだよ。それに比べて、香織はいつも一番に俺のことを気遣ってくれていただろう?今更だけど、香織のそういった所の良さにやっと気がついたんだ」

「そっか…」と言って、私は彼に表情を見られないように俯いた。今、私はどんな顔をしているのだろうか?

彼の言葉は想像通りだった。それが聞けて嬉しいのか、何だかあまりにも薄っぺらくて苦笑いなのか、それとも好きだった男の醜態を見て切ないのか…。

ただ、結局彼は、自分に都合の良い人間を側に置いておきたいだけなのだと再確認した。梓への思いが本当なのか、私を説得させるための嘘かは分からない。どちらにせよ、何とも自己中心的な考えだ。

ー本当はここまでしたくはなかったんだけど…。でも一度くらい、彼に痛い目にあってもらってもいいよね…?

さて、そろそろ入ってくる頃だろう。私は扉の方に目をやる。すると、拓斗もつられて同じ方向に目を向けた。

その時、丁度タイミング良く扉が開く。相変わらず存在感のある女性だ。

「え…?梓…?何で…?」

鳩が豆鉄砲を食らった顔、と言う表現がぴったりな表情。そんな彼の横顔を見ながら、私は大きく息を吸う。

さて、覚悟してね?私の愛した、最低で大馬鹿なあなた。


▶︎NEXT:次回10月1日 月曜更新予定
ついに最終回。香織の逆襲の先に待っていたものとは…?



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