セカンドの逆襲 Vol.15

「彼って、こんなに薄っぺらい男だった…?」セカンド女が、浮気男への盲目愛から目覚めた瞬間

最後の戦い


決戦の日。

フォーシーズンズホテルにある『モティーフ レストラン&バー(ザ・リビングルーム)』の店内に入ると、通された席にはすでに拓斗が座っていた。


相変わらずピンと伸びた背筋や、シンプルだがセンスのある服装は、彼の長所を存分に引き立たせている。

そんな彼を見ると、いつも胸が高鳴る香織だったが、今日は全く心が動かない。

「お待たせ。ごめんね、遅れちゃって。出がけに色々と用事が入っちゃって…」

「いや、俺もさっき来たところだから」

付き合っていた頃の香織は、忙しい彼に合わせていつも時間厳守だった。そんな所も、都合良く扱われた要因だったのだろうか、などとぼんやりと考えながら席に着く。

「久しぶり。なんか香織、すごく綺麗になったね…」

帰国子女の拓斗は、昔からよく褒めてくれた。けれど、今日はその声に熱を感じる。

「そうかな、ありがとう」

香織は軽く微笑みを浮かべる。以前なら本気で喜んで見せたが、今日はそんな姿を見せてはならない。

なぜなら、これから香織の最後の戦いが待っているのだ。

拓斗の心情


久しぶりに会う昔の女。

この響きだけで、艶っぽい展開が想像に容易い。

数日前に届いた香織の返信から、彼女が自分のLINEに対して浮かれているのが分かった。

ーやっぱり、俺のことを忘れてなかったんだな。

「嬉しい」という感情と、「簡単だな」という少し蔑む思い。それでも、会いたいと思ったのは本当だったので、週末に会うことにした。

ただ一つ想定外だったのは、香織が雑誌で見た写真よりも綺麗になっていたことだ。

僕の知っている彼女は、読者モデルの経験があるくらい可愛いものの、“量産型”と揶揄されてもおかしくないような、東京にならいくらでもいそうな子だった。

しかし目の前に現れた香織は、見た目が洗練されただけでなく、自信に溢れ、内側から発光しているかのように、ふわりと光って見えた。

「久しぶり。なんか香織、すごく綺麗になったね…」

僕の言葉に対し、香織はさほど喜びもせず、社交辞令程度に微笑んだ。

僕の知っている彼女なら、頬を薔薇色に高揚させて嬉しそうに「そうかな?今日は新しいファンデーションを使ったからかな」なんて間に受けて、ペラペラとどうでも良いことを話していただろう。

「何飲む?シャンパンで良い?」

そう言ってメニューを見ながら顔を近づけた時、自分が少しドキッとしていることに気がついた。

ーへぇ、香織をこんな風に意識するなんてな…。

そうして僕たちは、会わなかった間の時間を埋めるように話をした。僕の仕事の話や最近ハマっている趣味について、どこのレストランが美味しいかとかそんなところだ。

どんな話をしても、彼女は楽しそうに笑って聞いている。やはり、僕とやり直したいと思っているのは間違いないだろう。

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