大阪LOVERS Vol.11

「好きな子に引かれたら凹む…」30歳の大阪男が、東京女には絶対言い出せなかったある秘密

あなたが大阪に抱くイメージは、どんなものだろうか?

お笑い・B級グルメ・関西弁。東京とはかけ離れたものを想像する人も少なくないだろう。

これは、そんな地に突然住むことになった、東京量産型女子代表、早坂ひかりの大阪奮闘記である。

ストーカー気味の隆二にきっぱり別れを告げ、仕事に打ち込むひかりに突然告げられた淳子の退社宣言

戸惑うひかりだったが、その決意を聞いて、絶対に全国大会で勝とうと心に誓うのだった。


「あかん…俺まで泣きそうや…!淳子さん、素敵やな!」

淳子の退社のニュースを聞いた太郎は、目をウルウルさせながら手にした串カツを「…ウマっ」と頬張っている。

全国大会を翌週に控えた土曜日、『勝つにはカツ!』と、太郎が北新地にある『again』の予約を取ってくれたのだ。

「うん!だから、絶対優勝して、恩返ししたいんだ。」

そういってひかりも揚げたての串カツに手を伸ばす。今までとは雰囲気の違った、カウンターでの“デート”。緊張してしまって、うまく太郎の顔を直視できない。

加えて、普段はカジュアルな服装を好む太郎が、今日はきちんとした恰好をしている。それがなんだかかっこよく見えてしまい、照れくさいのだ。

「絶対大丈夫やって!そうや、渡したいものあるねん!」

そういって太郎が取りだしたのは、小さなお守りだ。

「これな、友達の妹が福娘やってたこと思い出して。願掛けで、その子に今宮戎神社で買ってきてもらってん。商売の神様のお守りやから勝負運はばっちりや!」

―福娘…?今宮エビス…?

聞いたことはある言葉だが、ぴんとは来なかった。しかし太郎が自分のために苦労して手に入れてくれたであろうプレゼントが、嬉しくないわけがない。

「太郎くん…ありがとう!これで、絶対勝てる気がしてきた!」



美味しい串カツをたらふく食べ、大満足で店を出た頃にはすでに22時を回っていた。

大阪駅まで並んで歩くと、ふとした瞬間に手と手が触れる。

ひかりと太郎は、恐らく両思いだ。でもまだ、お互いの気持ちをきちんと口にはしていない。

両思いだけど、付き合っていない。そんな甘酸っぱい期間を長く味わっていたい気もする。けれど、このクリームパンのような手を自分のものにできたら、もっと幸せなはずだ。

「太郎くん、全国大会終わったら、お礼させてね!私、太郎くんがいなかったら、ここまでやってこれなかったと思う…。ありがとう!」

斜め上を見上げると、太郎も目をウルウルさせてこちらを見ていた。

「あかん!そんなん言われたらうれしすぎて死んでまう…!」

太郎が立ち止まり、真剣な顔でひかりの手を握る。

「あんな…全国大会終わったら言おうと思っててんけど…、俺、実はひかりちゃんに隠してることあるねん。」

―か、隠し事?!

まさかのタイミングでの、嫌な予感がする言葉。いいムードは一気に吹っ飛んだ。

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