ノリオとジュリエット Vol.4

ノリオとジュリエット:超がつくお嬢様からの積極アプローチに、庶民の男が陥落した夜

立命館大学を卒業後、ゲーム機器メーカーの京都本社に勤める一ツ橋紀夫(ひとつばし・のりお)は正真正銘の庶民。

“普通”で平凡な日々を送る紀夫だったが、食事会でどこか謎に包まれた美女・萬田樹里(まんだ・じゅり)と出会う

翌朝、樹里から思いがけず「ふたりで会いたい」とLINEが届き琵琶湖ドライブに出かけた二人は急速に距離を縮めるものの「家まで送る」という紀夫を、樹里は頑なに拒否。

脈ナシだと落ち込む紀夫だったが、樹里から再びデートの誘いが。しかもディナーの途中で樹里から「この後、家に行ってもいい?」と聞かれ…。


「散らかっててごめん」
「そこのソ、ソファにでも座って」

沈黙を恐れるあまり、紀夫は頭に浮かんだ言葉を次々と喋った。

思う以上に樹里の存在は大きくて、自分の家のはずなのにまったくもって落ち着かないのだ。

京都駅からさらに南、竹田駅から徒歩3分の場所に紀夫の家はある。樹里は「ここ、初めて降りた」と言ったが、それもそうだろうと頷ける。

紀夫がここに住んでいるのには理由がある(勤め先に近い&実家の奈良に帰りやすい)が、御所南で暮らす樹里がわざわざ来る場所ではない。

勧められるがまま、そっとソファに腰を下ろす樹里。

違和感しか感じないその光景を眺めながら、紀夫はあることを確認するべく彼女に問いかけた。

「でも大丈夫なん?その…遅くなって家族は心配しない?」

「うん…。今日は、夏子の家に泊まるって言ってあるから」

樹里の答えに、紀夫はごくり、と唾を飲み込む。

「そっか」と小さく呟くと、紀夫はまた沈黙を埋めるように口を動かすのだった。

「お、お茶でもとってくる」

そう言って背を向けた紀夫に、樹里が突然、思い切ったような大きな声を出した。

「あ…あの!私、紀夫さんに話したいことが…」

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