俺、本気だから
「なあ、真子。今日会って、やっぱり確信した。俺には真子しかいないって。真子が少しでも俺に気持ちが残っているのなら、一度真剣に考えてくれないか…?」
「ありがとう。…でも、もう私決めてるから」
かつての自分がずっと待っていた言葉ではあるが、今の自分には圭一がいる。
「本当に?それが真子の本心…?」
俊はそう言って真子の目をじっと見つめた。
「返事はまた今度でいいから。もう遅いし、そろそろ帰ろうか」
そうしてその日は、そのまま俊と別れた。
◆
家に帰ると圭一が来ていた。圭一とはお互いに合鍵を持ち、自由に行き来しているのだ。
圭一はよほど疲れていたのか、ソファでスヤスヤと眠っている。風邪を引くから起こそうと思ったとき、圭一の手元にパンフレットのような物が見えた。
—これって…
それは、結婚式のパンフレットだった。その中には、真子が気になっていた『アールイズ・ウエディング』のものもあった。
—圭一、調べてくれてたんだ…
喧嘩して以来、初めて連絡を取り合わない日々が続いていた。その間、彼は話し合いをする気などないのではないか、と不安に思っていた真子だった。しかし、圭一は圭一なりに色々と考えてくれていたのだろう。
「あ、真子、お帰り。ごめん、寝ちゃってた」
「ううん、疲れてるんでしょう?ベッドで先に寝てて」
圭一の顔を見ると、罪悪感からか胸がキュッと締め付けられる。
そして圭一が先に寝た後、真子は今日のことを振り返った。そして、俊に言われた言葉を思い出す。
—ずっと、後悔していたー
この言葉が何度も何度も脳内で再生される。真子は頭の中から俊を追い払おうとInstagramを開き、『#アールイズ・ウエディング』のページを開いた。
真子が心動いた美しいザ・モアナチャペルでの結婚式。真子の隣には、もちろん圭一がいるはずだ。
その時、真子のスマホが震えた。
「無事に着いた?さっきの話、俺、本気だから」
俊からだった。真子は思わずスマホをぎゅっと握る。
―あのとき、もし俊についていったら…?
一瞬でもそう考えた自分に、驚きを隠せない。そして真子はこの日、眠れぬ夜を過ごすのだった。
NEXT▶5月23日更新予定
最終回。真子が選んだのは…?
真子がチェックした「アールイズ・ウエディング」のインスタグラムはこちらから>>
圭一がパンフレットを取り寄せた「アールイズ・ウエディング」の公式HPはこちらから>>
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