コンセプトを具現化するために集めたスタッフも精鋭ぞろいだ。特にシェフの大井健司氏は、4年前から相澤氏と「『世界のベストレストラン50』に選ばれるような店を作ろう」と誓いあった間柄。
イノベーティブな料理でミシュラン三ツ星をキープし続ける神戸『カ・セント』ではシェフ・福本伸也氏の「最高の食材を大切に扱う」徹底した姿勢に感銘を受けたという。
そんな大井氏を中心に、和食の料理人とスペイン料理のシェフという布陣が繰り出す料理は、予測不能な展開が魅力。

お造りの3種盛り。ボタンエビには柑橘とカラマンシーヴィネガーの香りを纏わせて爽やかに。コウイカは長芋と共にさっぱりと、白身魚はスペインの「モホソース」でエキゾティックに、とフュージョンを象徴するひと皿
たとえばある日のコースでは、アミューズのふきのとうのフリットのあとに、お造りが登場。
なるほど、ここで箸の出番。それでいてスペインの調味料を取り入れるなど、いずれもひと工夫を加えてある。これならば、日本酒のみならず、ワインとのペアリングの楽しみもより深まるというもの。
「次は何が登場するんだろう?」、そんなワクワク感の中、続いては漆黒の衣に覆われた料理が。
ビジュアルと正解は店を訪れてのお楽しみだが、従来のセオリーに照らし合わせるとどのジャンルにも当てはまらない驚きと美味しさ、そして新しさが詰まっていて、世界中の美味が集まる東京だからこその一品。
最先端とも言える料理のあとは、鰆に旨みたっぷりのスープを注いだ、ほっとするようなひと皿。
そしてメインディッシュは、直球の肉料理で……という、緩急をつけた構成。順当にいけばこのあとはデザート……と思わせておいて、料理の大トリを飾るのが「鶏飯」とは!
最後の最後に意表を突いてくる、これが『Courage』のホスピタリティか。
訪れれば皆唸らされ、この驚きを誰かと共有したいと、また人を誘う。スタイリッシュと抜け感が共存する、これぞ十番の大人が誘うに相応しいお店なのだろう。
Photos/Yoichiro Kikuchi, Text/Haruka Koishihara
十番が使えてこそ、大人です。
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