リスクを嫌う男 Vol.5

リスクを嫌う男:家庭で存在感を失った夫が癒しを求めた女は、まるで“妻の劣化版”

−保険プランニング−

そのとき、人間の本性が自ずと露わとなる。

三上保(みかみ・たもつ/30歳)は、外資系保険会社の保険プランナー。

新婚夫妻の闇清純な妻の秘密を目撃するたび「結婚は最大のリスクである」と考えを拗らせていく保だが、運命の出会いは突然やってくる。

どストライクな小悪魔美女・美里に心奪われる保。が、彼女は貯金0円の浪費女だと判明。

しかし意外な素顔を知り、その内面にも心惹かれていくのだった。

今回は、リゾートホテルを経営する橘に呼ばれ、保は石垣島へと向かう。


恐怖のフライト


「ひぇ!」

石垣島へと向かう、フライトの最中。

突然襲った内臓が浮く感覚に、保はアームレストを強く握りしめた。

連休前でもない平日昼間のフライトゆえ隣は空席で、思わず漏れた奇声が虚しく響く。

「気流が不安定な場所を通過するため、機体の揺れが予想されます。シートベルトを強く締め、席を立たれないように…」

アナウンスをする客室乗務員の声は努めて冷静だが、保は、自身が感じる過去最大規模の揺れに動揺を隠せない。

周囲の様子を伺おうと、座席からほんの少し身を乗り出したとき…左斜め後方に座る、1組の男女に目が止まった。


−あれは…高野さん?

高野文雄。

見覚えのあるその男は、およそ1年前に夫婦で保険契約を預かった、保のクライアントだ。

高野は保より5歳ほど年上。東工大卒、大手ゼネコンに勤めるエリート。日本各地のデザイナーズホテルや商業施設の設計に数多く関わっていると聞いた。

もともとは、高野の妻・沙知(さち)と保が早稲田の同級生であり、「子どもが生まれたので保険を見直したい」と、彼女から連絡をもらったのだ。

しかしながら今、高野の肩に寄り添う女性は…保の知る顔ではなかった。

【リスクを嫌う男】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo