リスクを嫌う男 Vol.3

リスクを嫌う男:知らぬは夫だけ…巧妙に隠された、清純な(はずの)妻の秘密

−保険プランニング−

そのとき、人間の本性が自ずと露わとなる。

その人に適した保険を設計するには、人生計画、金銭事情、価値観、そして家族や異性関係についても…様々なヒアリングを重ねる必要があるからだ。

三上保(みかみ・たもつ/30歳)は、外資系保険会社の保険プランナー。

表からは知る由もない男女の内情を目撃するたび「結婚は最大のリスクである」と考えを拗らせていく保だが、運命の出会いは突然やってくる。

どストライクな小悪魔美女・美里に心奪われる保。しかし、彼女は貯金0円の浪費女だった!?


元同期の結婚


日曜日の、豊洲。

このエリアほど、アラサー独身男が似合わぬ場所もないだろう。

そびえ立つタワマン、子どもたちの姿、ショッピングモール。

その圧倒的ファミリー感にどうしようもなく疎外感を覚えながら、保は足早にアポイント先へと向かった。


「おお三上、久しぶり!」

ディフューザーが香る玄関で迎えてくれたのは、1年半前に退職したメガバンクの同期・相沢だ。

一橋大学卒の相沢は非常に優秀な男だが、女性関係には疎い。

記憶を遡っても、同期の間で彼の浮いた噂を聞いた覚えがなかった。

そのため先日久しぶりに相沢から電話があって「結婚した」と聞かされた時には、驚きとともに微かな焦りを感じた。まさか自分より先に、相沢が所帯を持つとは。


「そうだ紹介するよ。こちらが妻…の、希(のぞみ)」

部屋の奥から現れた小柄な若い女性を、彼はまるで壊れものを扱うがごとく丁重に呼び寄せた。

「妻の」と言う時に少し照れをにじませた相沢の表情から、彼女を心の底から愛していることが伝わってくる。

「初めまして。今日はありがとうございます」

相沢の妻・希の声は、その白い肌同様、透き通るように響いた。

「どうぞ、奥へ」

淡いブルーのワンピースを翻し、光が差し込むリビングへと保を導く彼女の姿は、さながら天使のようだった。

【リスクを嫌う男】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo