リスクを嫌う男 Vol.2

リスクを嫌う男:女には皆、裏の顔がある。超絶好みな25歳小悪魔美女のリスキーな私生活

ついに、運命の出会いが!?


どうにか話を打ち切り田所紗英のサロンを後にした保は、疲労感を引きずりながら次のアポイントへと急いだ。

先日、渋谷の某ITベンチャーに勤める20代女性から、コールセンター経由で保険の設計依頼が入った。

会社近くで少しならば抜けられるということで、15時に『セルリアンタワー東急ホテル』のラウンジで約束をしている。

20代女性、コールセンター経由。…少額契約の匂いしかしない。

ベテラン勢はこういう時、知って知らぬふりである。

したがって自動的に、入社2年目、物腰柔らかで人当たりの良い保に白羽の矢が当たってしまうのだ。

損な役回りだとしか思っていなかったが、しかしこのアポイントが保の運命を変えることになるとは...この時はまだ、想像さえしていなかった。


「三上さん、ですか?」

ガーデンラウンジ『ZABOU』に現れた女性を、保は思わず二度見してしまった。

突然だが、保は女優・石原さとみの大ファンである。

主演ドラマはもとより、CMで見かけるたびについ一時停止してしまうほど。彼女のポジティブな雰囲気、キュートであざとい顔や仕草が猛烈に好きなのだ。

それが今、まさに保の前に、石原さとみが…いや、石原さとみにそっくりな美女が現れたのだ。

−これはもしかして…。俺にもついに、運命の出会いが!?

完全に彼女に見惚れている保は返事も忘れ、ひとりお花畑な妄想に酔いしれる。

そんな保を彼女は面白そうに見つめ、弾むような可愛らしい声で「原井美里です」と名乗った。

軽く首を傾げて会釈をするその仕草は、まさに保の好みど真ん中である。

「初めまして、担当させていただく三上です。どうぞ…おかけください」

眩しい笑顔に、どうしても頬が緩む。

しかしこれは、仕事である。「しっかりしろ」と自分に喝を入れ、保もようやく平静を取り戻す。

そうして落ち着いて彼女を観察してみると、保はいくつかのことに気がついた。

彼女は25歳、独身。渋谷のIT ベンチャーで働くOLで、恵比寿で一人暮らしをしているとの前情報を得ている。

しかし−。

微かに感じる違和感の正体に、保はようやく合点がいった。

彼女が身につけているものが、年齢と職業の割にやけに高価なのだ。

仕事を抜けてきている彼女は、バッグこそ男の保が一瞥でわかるようなブランドものではないが、運ばれてきた紅茶ポットを注ぐ指には、ティファニーTのダイヤ入りリングが光っている。

カーディガンの袖口からチラリと見える手首には、カルティエのタンク(こちらもダイヤ付)。

横に置かれたコートも、そのしっとりとした質感はどう見ても高級感があるし、身につけている洋服も安物ではなさそうだ。

−お嬢様なのだろうか?

しかしそれならば、自らコールセンター経由で保険契約を希望したりするだろうか。

…もしくは、男に貢がせているのか。

保は関わらないようにしているが、東京には、港区女子なる生き物が存在するのである。

訝しんでいると、原井美里は、その答えを自らあっさりカミングアウトしてくれた。

「今日はありがとうございます。そろそろ保険とかちゃんと考えたくって…なんせ私、貯金0円なので♡」

−貯金0円…!?

…そう、原井美里は、収支バランスが明らかにおかしい、割とヤバめな浪費女だったのである−。


▶NEXT:3月12日 月曜更新予定
一目惚れした女性はまさかの浪費女。リスキーな女に深入りは禁物...?

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

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No Name
浪費癖ある相当馬鹿そうだけど、男に寄生して買ってもらってる港区よりマシ。
2018/03/05 05:5999+
No Name
原井美里 はらいみさと
石原さとみをもじった名前でしょうか
2018/03/05 07:1799+返信1件
No Name
でも25歳で気付いて、まだ利口な方かも!
2018/03/05 06:5196返信1件
元保険プランナー
元同業者として楽しく読ませていただいています。
腫瘍が見つかったら、医療保険は追加できないですけどね‥。
2018/03/05 07:2854返信4件
25歳一人暮らし女性
25歳で貯金0ってやばいのでしょうか…?
2018/03/05 05:5928返信7件
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