
~既存の制度や体制にとらわれず、新しい社会に必要なものを考え抜く~
未来が見通せないからこそ、恐れずに挑戦すべき
金丸:最後に、渋澤さんから若い人へのメッセージをいただけますか?
渋澤:私が日本に戻ってきたのは、1983年の暮れ、今から約35年前です。戻ってきた直後は全然日本語が書けず、人前でしゃべるのも苦手でしたが、今ではいろいろなところで執筆や講演の機会があり、たまに不思議な気持ちがします。35年前の私は、今の姿をまったく描けていなかったし、自分が起業するなんて思いもしなかった。でもそんな私でも、日本に来てすごく驚いたのは、同年代の日本人が、学生時代よりもはるかに長い年月を過ごす就職先を、わずか数週間で決めていたことです。自分なら、そんなこと怖くてできないと思いましたね。
金丸:それこそギャンブルですね。
渋澤:投資と同じで、ギャンブルをする必要はありません。でも、無理のない範囲での挑戦はやっていいはずです。私の先祖の渋沢栄一は、アンチエスタブリッシュメントでした。だからこそ既存の制度や体制をよしとせず、新しい社会を築くには何が必要かを考えて、いろいろな会社を興した。そういうアンチエスタブリッシュメントの精神は、いつの時代も社会にとって必要ではないでしょうか。
金丸:それに、この激動の時代において、エスタブリッシュメントっていうのは、危険思想だと思います。要するに、過去の延長線上に存在するものだから、何か革新的なことが起きると、あっという間に転落する危険をはらんでいる。今求められているのは、サーファーのようなマインドです。自分の力量に応じて波を選び、たまに痛い目に遭いながらも、次々に押し寄せる波を乗りこなしていく。挑戦をやめないからこそ、確かな成長があるんです。今の若い人たちもどんどんリスクテイクして、挑戦を続けてくれたらいいですね。本日はありがとうございました。