2018.03.20
SPECIAL TALK Vol.422020年のニューリーダーたちに告ぐ
幕末から明治・大正、そして昭和初期まで、官僚として、実業家として活躍した渋沢栄一。立ち上げた企業は500を超えるといわれ、今なお、かたちを変えながら、多くの企業が存続している。その渋沢栄一から数えて5 代目の子孫にあたるのが、渋澤健氏だ。
渋澤氏が現在注力するのは、無理のない範囲で定額を積み立てる長期投資を日本に根付かせること。先祖の威光も届かないアメリカで小学校から大学まで過ごし、外資系の金融会社を渡り歩いてきた渋澤氏に見えている世界とは?
それを知ることは、ニューリーダーたちにとって重要な指針になるはずだ。
金丸:お忙しいところお越しいただき、ありがとうございます。
渋澤:今日はお招きいただきありがとうございます。
金丸:本日ご用意したのは、赤坂の『アーティザンテーブル・ディーン&デルーカ』です。ジャンルにとらわれず、旬の食材の魅力を最大限に引き出した料理をぜひお楽しみください。渋澤さんと初めてお会いしたのは、経済同友会でしたね。
渋澤:私が参加したのが2002年ですから、16年来ということになります。
金丸:経済界の集まりは、似たような考えを持つ〝同じ村の集まり〞になりがちですが、渋澤さんはアメリカでの暮らしが長かったこともあり、日本の経済界に染まりきっていなくて、議論の幅や思考の空間を広げるという意味で、とてもありがたい存在でした。
渋澤:ありがとうございます。私は今も変わらずアウトサイダーのままですよ(笑)。
金丸:渋澤さんは「日本資本主義の父」と呼ばれ、日本で最初に銀行を立ち上げた渋沢栄一氏の子孫にあたります。現在は長期投資を行う会社を経営されていますが、今日は生い立ちから、金融の世界を渡り歩いてなぜ長期投資に行き着いたのか、そして日本はこの先どうなっていくのかなど、いろいろとお聞かせください。
渡米して2年間は、まったく英語が理解できず
金丸:早速ですが、お生まれは神奈川県の逗子でしたね。
渋澤:はい。ただ幼稚園のとき渋谷に引っ越し、小学2年生のときには父の仕事の関係でアメリカに渡りました。最初はニューヨーク、それからテキサスへ。
金丸:お父様は何のお仕事を?
渋澤:銀行マンです。父は16歳で終戦を迎えたのですが、それまではプロパガンダにどっぷり染まっていて、日本が負けるわけがないと信じていた。でも体の大きなアメリカ人が、頑丈なジープに乗ってやってくるのを見て、「負けたのは当然だ」と感じたそうです。いつかアメリカ人と対等な仕事がしたいと英語を勉強し、「英語を使って仕事をするなら、航空会社か銀行がいい」と言われて、銀行を選んだと聞いています。
金丸:その夢を叶えての渡米だったんですね。当時のアメリカは、まだ日本人が少なかったのではないですか?
渋澤:テキサスに商社や石油関係の日本企業が進出を始めた頃で、日本人に会うと必ず知り合いでしたね。アジア人はほとんどいませんでした。
金丸:ニューヨークには何年いたのですか?
渋澤:2年弱です。ヨンカーズという郊外の街に。でもその2年間は、ほとんど空想の世界に生きていたようなもので。
金丸:というのは?
渋澤:英語がまったく理解できなかったんです。学校の先生が何か言っても、「多分こういうことを言っているんじゃないかな」と想像するしかなくて(笑)。
金丸:想像力だけが味方だった(笑)。
渋澤:4年生になって、ようやく英語をまともに話せるようになり、先生や友達とコミュニケーションが取れるようになりました。
金丸:日本人である渋澤さんは、学校ではどのような存在だったのですか?
渋澤:テキサスで通っていた学校は、いわゆる〝白人〞が多く、マイノリティはほとんどいませんでした。そんな環境にいて気づいたのですが、集団の中にほかと異なる人が1人だけだと、マイノリティにならないんですよ。ある程度の人数がいて固まると、多数派からマイノリティとして扱われるけど、1人しかいないと〝特別〞という扱い。だから小学校から高校まで、みんなと分け隔てなく過ごしていました。
金丸:1人だと特別というのは、面白いですね。ずっとテキサスですか?
渋澤:4年生のときテキサス州のヒューストンに引っ越して、高校までずっとテキサスです。
金丸:大学はどちらに?
渋澤:地元のテキサス大学です。オースティンという街にあるんですが、工学部でケミカルエンジニアリングを専攻していました。
金丸:えっ、ケミカルですか! 全然知らなかった。でも金融と理系は近いものがありますからね。
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