“ゆとり”のトリセツ Vol.3

“ゆとり”のトリセツ:優先すべきは“費用対効果”。愛想笑いの下にある、ゆとり世代の本音

「えっ、初デートであそこに...?」

瑞希は素っ頓狂な声で聞き返した。

先月社内の飲み会で使った居酒屋に、工藤はなんと初デートで行ってきたと言うのだ。大人数で貸し切りもしやすく、手ごろな価格帯のため使い勝手は良いが、デート向きかと言われると...微妙なところだ。

そこそこ長い付き合いの彼女となら、たまにはそういう気軽な店も良いだろう。しかし口説きたい女の子を最初に連れていく店ではないように思える。

「なんていうか...意外です、先輩ってもっと洒落たレストランとかバーで女の子口説いてるのかと思ってました」

「いや、基本初デートは居酒屋って決めてるよ。しかも超普通な感じの。だってさ、最初から高いレストランとか連れてったら、毎回期待値上げられちゃうばっかりだろ」

言っている内容は後ろ向きなのに、工藤は何故か自信満々な顔で言い放つ。


「でも先輩なら、いくらでも良いレストランとか知っていそうなのに」

チームで食事に出る時も、いつも工藤が話題の新店を手際よく手配してくれる。雰囲気も味も良い素敵なお店をたくさん知っていて、さすがモテる男は違うなと感心していた。

「自分が行くのと女の子に奢るのは別でしょ。むしろ女の子にお金使うくらいなら貯金したいし、高いレストランばっかり行きたがる彼女なんか欲しくないし。

だったら最初から『俺がお前に使うのはこれだけ』ってアピールしておいた方がお互い変な期待しなくて済むだろ」

ここまで自然体で言われると、そりゃそうだ、という気にもなるから不思議だ。

「”超美人で素敵なあの子を絶対落としたい!”って時も居酒屋なんですか?」

「俺、そもそもそういう子にあんまり興味ないかも。そういう子って世間でチヤホヤされてて面倒くさそうだし。仕事だって忙しいし趣味にだって時間使いたいし、時間・費用対効果を考えたらそういう子は最初からナシかな」

そういえば工藤が前に付き合っていたという彼女の写真を見せてもらったときには、意外と地味な人だなと思ったことを思い出す。

顔も良いしモテそうなのにもったいない、と一瞬思ってから、”費用対効果”を考えれば確かにそういう考え方もあるのかもしれない、と瑞希は少し納得したのだった。

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