バブル崩壊後の低迷する日本を生きてきた"ゆとり世代”。
諸説あるものの、現在の20代がこの世代に当たるとされる。
仕事も恋も、何もかもが面倒くさい。報われる保証もないのに、頑張る意味がわからない。
外資系コンサルティングファームに勤める瑞希(26歳)も、まさに典型的な“ゆとり”。
趣味はNetflix、たまに港区おじさん・水野と出かけるのは庶民的な餃子屋。
高学歴、高収入、容姿端麗。誰もが羨むハイスペにも関わらず、その実態は信じられないほど地味だ。
“ゆとり”は、恋愛にも非常に淡白な価値観を持っている。
大学からの友人・亜美から聞いた「ほぼカレ」の存在。恋愛のオイシイところだけを得る合理性に納得しつつも、しかし瑞希は言い得ぬ寂しさを感じてしまうのだった。
『コーヒー行かない?』
ディスプレイの左下に、社内チャットのポップアップが表示された。
瑞希が担当しているクライアント先に、同じく出向している先輩・工藤からのものだ。
―…面倒だなぁ。
暇だからといって先輩に気を遣いつつコーヒーを飲むくらいなら、デスクで仕事ら......
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この記事へのコメント
私の中でもカラリと音を立てて、氷が崩れました。