LESS~プラトニックな恋人~ Vol.12

LESS:夫婦なんて、どこもイビツ。それなら御曹司の妻となり子どもを授かるのが幸せ…?

ため息をつく男


“両親との会食は、日曜12:00から帝国ホテルで。11時半に迎えに行くから”

結局、瀬尾さんを説得できぬまま迎えた金曜日。

届いたLINEを確認した私は、デスクで思わず大きなため息をこぼす。そこを、ちょうどキャラバンから戻って来た後輩・遥に目撃され、顔を覗き込まれてしまった。

「どうかしました?…それにしてもさっきから、ため息ついてる人ばっかり目撃するなぁ」

「ばっかり、って?」

触れられたくないところを見られてしまった気まずさから、話題を変えようとして遥に聞き返す。

「いや、さっきエントランスにスーツ姿の男の人が立ってて。誰かを待ってるような感じなんですけど…その人がポケットからスマホを出したりしまったりしながら、何度も大きなため息をついてたから。そう、美和子さんと同い年くらいの人だった」

遥の話を聞いて私は「何それ」と笑ったが、しかし次の瞬間、何とも説明のつかぬ直感が私の身体を走り抜けた。

−健太かもしれない。

健太が、私に会いに来たのではないか。

それはあまりに都合のいい妄想にも思える。しかし、「そんなはずはない」と思い込もうとすればするほど健太に違いないという考えに至る。

気がつけば私は席を立ち、エレベーターホールへと走っていた。


エントランスのガラス扉を出ると、心地よい夏の夜風が頬を通り過ぎた。

左右に首を振り、私の目は、柱に寄りかかるようにして立っている、ある男性の横顔に釘付けとなる。

−健太!

心の中で叫んだ声は、言葉にならない。

勢いで来てしまったものの、どうして良いかわからず躊......


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