恋の大三角形 Vol.9

恋の大三角形:私は絶対に2番手で終わらない。覚悟を決めた女が告げた、ある言葉

東京を生きる女たちは、もう気がついている。

「素敵な男の隣には、既に女がいる」という事実に。

自分が好きになるくらいの男を、他の目ざとい女たちが見過ごすはずがないのだ。

取材先のスリランカで知り合った商社マン・洋平(30歳)と運命的な出会いを果たした彩花(26歳)。

しかし洋平には、付き合って2年になる彼女・繭子(29歳)がいる。

彼女の存在に気づいたものの諦めきれない彩花は、初デートを実現するが、その後連絡が途絶えてしまう

仕事帰り、偶然洋平と繭子を見かけてしまった彩花は、本命彼女の前で存在を無視され、自分の立場を思い知る。しかしその日の夜、洋平からフォローのメールが届く。彼の意図は、一体?


彩花side−既読スルーしたLINE


「彩花、まだ帰らないの?」

夏美さんに声をかけられ時計を見ると、20時半を過ぎていた。

名古屋でOLをしていた時代には考えられないが、夏美さんとともにGirls Tripで働くようになってからは、仕事に集中して時間を忘れてしまうということがよくある。

「うーん、あとちょっとだけ…」

両腕をぐーん、と伸ばしながら答えると、夏美さんは「そう。あまり無理せず、ね」と言ってオフィスを出て行った。

先日、某旅行代理店に提案したスリランカ・コラボツアーの企画に反応があり、順調にいけば形になりそうだ。

…こんな時、打ち込める仕事があって本当に良かった。

少し気を許すと脳裏に浮かんでくる、あの夜のこと。本命彼女の前で消された、私の存在。

「…集中しよう!」

私は心を灰色に染める残像を消し去るように、ひとり頭を振った。

あの日、洋平くんから届いたLINEは既読スルーした。いくらフォローがあったとはいえ、無視された心の傷はそんなことで癒えない。

それに…ここで私が簡単に許してしまったら、彼の中で私の価値はその程度のものになってしまうだろう。それだけは、避けなければならない。

−自分に自信を持てない人は、選ばれないものよ。

夏美さんの言葉を、私は何度も復唱するのだった。

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