2017.12.21
SPECIAL TALK Vol.39強い意志と卓越した分析力が野菜ソムリエの普及を支える
福井:ただ、周りの理解はなかなか得られませんでした。僕の提案はほとんど何でも通るのに、オーガニックだけは通らなかった。「アフターファイブに趣味でやれ」とか、「そんなニッチなマーケット、商社がやるもんちゃう」とか散々叩かれて。でもあるとき、日商岩井の食料部門長がとあるスーパーの社長さんと会食する機会があり、その席でその社長さんが「いまアメリカとヨーロッパで、オーガニックが伸びているそうですね」という話をされたんです。
金丸:思いもよらないところから援護射撃が。
福井:そうなんです。で、部門長が「そういえば福井が言ってたな。やらせてみるか」となり、トントン拍子でチームが発足しました。日本の商社では初のオーガニックチームです。
金丸:念願のチームが遂に。いつ発足したのですか?
福井:96年です。でも最初は苦しかったですね。その頃はまだオーガニックの認知度は低くて、スーパーに並べても全然売れませんでした。消費者からみると、オーガニックの野菜は、見栄えが悪いうえに値段も高い商品でしかなかった。
金丸:手間ひまかけて作られた野菜だとはわかりませんからね。
福井:まさにその通りで、どうやったら野菜の価値を伝えられるだろうと、ずっと考えていました。これが、野菜ソムリエの原点なんです。その想いがどんどん強くなり、2001年に日本野菜ソムリエ協会(当時は日本ベジタブル&フルーツマイスター協会)を設立しました。
金丸:野菜ソムリエのお話を初めて伺ったとき、こういう発想っていままでなかったから、すごく面白いなと思いました。そのために協会まで作って。
福井:資格を作って浸透させるには、権威が必要だと思ったんです。でも僕には権威も、権威につながる人脈もない。だから権威について考えました。たとえば、東京大学は、なぜ東京大学たりえるのか。「素晴らしい教授がいる」「立地がいい」「施設が充実している」といった観点でみると、学生にとって東大以上に魅力的な大学は他にもあると思うんです。でも旧帝国大学の時代からの流れで、権威があるからこそ、東大は日本一の大学であり続けている。じゃあ、権威は具体的にどのように生まれるんだろう、と分析していくと、あるパターンが見えてきました。ただ、それを実践してきただけなんです。
金丸:そうなんですね。野菜ソムリエができて以降、「◯◯協会」というのが、ものすごく増えましたよね。
福井:1,000以上できたらしいです。
金丸:すごい影響力ですよ。いま資格取得者が6万人とのことですが、どのように認知度を高めていったのですか?
福井:野菜ソムリエの方自身が広めてくれたのが、大きいですね。うちの協会は広告宣伝費を全く使っていないのですが、野菜ソムリエが1万人を超えた2006年頃、SNSが出始めて、受講生のみなさんが「野菜ソムリエはいいよ」とSNSでどんどん発信してくれたんです。先進的な方がたくさんいらしたので。
金丸:いち早く食の重要性を認識した人たちですからね。
福井:僕が100回言うより、受講生の方が1回「いいよ」とおっしゃるほうが効果が高いですし。いまでは全国に51の野菜ソムリエコミュニティがあり、修了生同士で協力しながら活動してもらっています。やはり資格を取ったのはいいけど、どうしたらいいかわからないという人もたくさんいらして。
金丸:資格取得後のフォローもされていると。
福井:はい。最初は野菜ソムリエコミュニティで一緒に活動し、一歩踏み出すきっかけをつかんだら独り立ちしていく、という仕組みです。
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