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  • ズルい男 Vol.3

    ズルい男:いつでも冷静沈着な男orストレートな年下男。35歳美女が考える、いい男の条件とは

    岡田透、32歳。

    身長182センチ、総合商社勤務で独身、半年前にロサンゼルスから戻ってきたばかり。数々の女性をさらりと口説く透はしばしば、“ズルい男”と言われる。

    そんな透には最近、気になる女性がいる。転職してきたばかりの3歳年上の女性・詩織だ。

    詩織は、元外資系コンサルティング会社勤務のキャリアウーマン。可憐な見た目で男性たちからの注目を集めていた。

    ある日、ゴルフコンペの帰りに詩織は透のクルマに乗ることになり、2人は一気に距離を縮める。

    しかし詩織には、付き合って1年になる圭吾という彼氏がいた。詩織が最後に選ぶのは…?


    ―会社で仲良くなった男の子と、ただ食事に行くだけよ…。

    私はそう自分に言い聞かせながら、西麻布へタクシーで向かった。

    今夜、透君と会う約束をしていたのだ。



    透君がマンションまで送ってくれた、あの日。家に帰ると、驚くことに圭吾が待っていた。

    「…うちに来るなら、言ってくれればよかったのに」

    つい責めるような口調になってしまったことを、途端に後悔した。さっきまで透君と一緒だったので、気持ちの切り替えができていなかったのだ。

    「連絡したけど、既読にならなかったから」

    その言葉に、慌ててスマートフォンを取りだす。透君との話に夢中で気づかなかったのだ。私が「ごめん」と言うより早く、圭吾はいつも通り穏やかな口調で聞いてきた。

    「…それにしても、ずいぶん遅かったね。会社の人に送ってもらったの?」

    普段なら絶対読まないはずのインテリア雑誌に、目を落としたまま。

    圭吾は「誰と行ってたの?」と心配するような嫉妬心は、絶対見せない。男らしいと思う反面、さっきまでの透君のストレートさを思い出すと、物足りなさを感じてしまう。

    私はなるべく感情を込めず「そう、帰りに食事してきたの」と答え、ソファ前にあるカフェテーブルに携帯を置き、圭吾にもたれかかった。これが2人でいるときの、私の定位置だ。

    そうやっていつも通りの日常に戻ろうとした瞬間、携帯がブルルと振動した。

    ―今日は、ありがとうございました。またゆっくり食事に行きたいのですが、来週は忙しいですか?

    さっき別れたばかりの、透君からだった。

    そのメッセージが圭吾に見られぬよう、私はそっと携帯を裏返す。圭吾の視線が、手元の雑誌に向けられているのを確認して。


    結局、透君に返信したのは週明け、通勤途中の電車からだった。

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