エリート亮介の嫁探し Vol.10

エリート男にも解けない謎。結婚を前提にやり直そうとしている元カノに広がる、不穏な噂

恵の謎の発言


亮介は先日、麻布十番の『Cast78』で里緒と食事をした。 友人と一緒にいたという恵は、亮介達の帰りを偶然見かけたらしい。いつも思うが、港区は予想以上に狭い。

「すごくお似合いだったので、友だちと2人して目を奪われちゃったんです。ただ……。」

そして恵は、すごく言いにくそうに、綺麗にカールした睫毛を伏せた。

「一緒にいた友人がどうもあの女性のことを知っているようで…。亮介さん、あの美人さんには気をつけて下さいね。」

亮介が何かを返す間も無く、「じゃあ私はここで。」と言って、恵は違う道へと走り去ってしまった。

ーなんのことだ?何に気をつけるんだ…?

以前、片瀬が香奈を指して言った言葉が蘇った。

ー“あの子には、気をつけろよ。”

人の言葉に左右されるのは嫌だったが、香奈のこともある。しかも結婚を前提にやり直したい、と考えている女性のことなので、なおさら気になる。

結局、亮介は気を晴らすどころか、ますます思い悩むこととなった。



恵の言葉が頭から離れなかった亮介は、健太を『晩鶏』に呼び出した。

『晩鶏』の、噛んだ瞬間に鶏の旨味が口一杯に広がる美味しい焼き鳥が食べたかった、というのもある。

「おう、亮介。この間は急に帰って悪かったな。ところで、話って?」

健太は亮介の話を聞くよりまずはと、店員を呼んでビールとつまみを頼んだ。

ゴクゴクゴクッとCMに出られそうなほどの良い音を立てながら、健太はビールを一気に飲み干した。これでやっと本題に入ることができる。

「健太、一ノ瀬さんについて何か知っているか?」

我ながら的を射ない質問だな、と思ったが、それ以外何と言えば良いのか分からなかった。しかし意外にも、健太には何か心当たりがあったらしい。

「なんだよ、お前もか?」

ーお前も?どういうことだ!?

「この間さ、翔と会ったんだ。あいつ今、俺たちがバイトしていたあの会社で正社員として働いているんだけど…」

翔は、亮介がバイトをしていた時のもう一人の仲間だ。健太と翔の3人でよくつるんでいた。

「昔バイトで来ていた、相田(あいだ)君が遊びに来たらしくて。亮介、覚えているか?」

彼は雑用係として雇われていた青年で、亮介達よりも4歳ほど年下だ。下の名前は確か“誠”だと思う。大人しくてあまり亮介との関わりはなかったので、はっきりとは覚えていないが。

「そいつがさ、一ノ瀬さんについて色々と尋ねて来たらしいんだ。会社を辞めた時の、あの事とか…。」

ーあの事?

【エリート亮介の嫁探し】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo