東京シンデレラ Vol.10

「あの時の選択は、正しかった?」男のスネを齧り続けた女の、虚しい顛末

私たちは、東京にいる限り夢を見ている。

貧しい少女にガラスの靴を差し出す王子様が現れたように、いつかは幸せになれると。

だが必ず、自分が何者でもないと気づかされる時が来る。

神戸から上京し、港区女子へと変貌を遂げる真理亜と、その生き様を見つめる彩乃。

彼女たちが描く理想像は、現実なのか、それとも幻なのか...

真理亜に嫉妬しながらも、東京でもがきながら生きる彩乃。その一方で、悩み抜きニューヨークへ旅立った真理亜。その間に、彩乃も徐々に変わり始めていた。


真理亜が帰ってきてから、私は妙に落ち着かなかった。ずっと、ソワソワして物事が手につかない。

「彩乃ちゃん、最近ミス多くない?気をつけて。 」

「はい...すみません。」

青山のオフィスから見えるどんよりとした冬の曇り空を見つめていると、上司から指摘が入り、私は慌ててPCを見つめ直した。

仕事が大好きなわけではない。

でも、仕事をしている限り自分の居場所はここにあると感じられる。

だから私は、まるで仕事にすがるように、何かに没頭したくて仕事に向き合っている。

殺伐としたオフィスでスマホの画面を見つめ、真理亜から来ていたメッセージに返信を打った。

—今夜、久しぶりに会えるの楽しみにしてるね。

今日は、 真理亜と再会する日だ。

そんな日に限って、東京は今年一番の寒さだと朝の天気予報で言っていた。乾いた空は妙に寒々しく、思わず身震いをする。

—大丈夫。私は私でいられるはず。

【東京シンデレラ】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo