東京シンデレラ Vol.1

東京シンデレラ:同じ空間にいても、誘われる女と誘われない女。その残酷な評価

私たちは、東京にいる限り夢を見ている。

貧しい少女にガラスの靴を差し出す王子様が現れたように、いつかは幸せになれると。

だが必ず、自分が何者でもないと気づかされる時が来る。

神戸から上京し、港区女子へと変貌を遂げる真理亜と、その生き様を見つめる彩乃。

彼女たちが描く理想像は、現実なのか、それとも幻なのか...


手に入れた物よりも、手に入らない物の数を数え始めたのはいつからだろうか。

「東京は、権力者に可愛がられた者が勝つ」

今でも、私は真理亜に言われたこの言葉をふと思い出す。

私はこの東京で、何を得て、何を失ったのだろうか...



「彩乃に紹介したい女の子がいるから、『キャンティ』に20時集合で。」

某音楽会社のCEOである松田さんから連絡が来た時、私は会社で必死に資料集めをしていた。

平凡なOLでありながら、東京でもかなり有名人の類に入る松田さんとは、大学時代にアルバイトしていた場所で知り合った。

“スレてないところがいい”と言って、何故か松田さんは私を気に入ってくれ、昨年大学を卒業し、社会人になった今でもこうして何かの集まりがあれば呼んでくれる。

しかし、今日は男性ではなく女の子を紹介してくれると言う。

一体、どういう風の吹き回しかしら?と思いながら、慌てて仕事を片付け、私は西麻布へと向かった。

23歳という若さで、東京の老舗中の老舗である名店へ足を踏み入れられるのなんて、選ばれた女性のみの特権。

そんな幸せと優越感に浸りながら、背筋を伸ばして地下へと続く階段を降りた。

私は薄暗い店内を見渡し、松田さんの姿を確認するのと同時に、彼の隣に座る一人の女性に目を奪われた。


それが真理亜だった。


一見派手な顔立ちに、くっきり引かれたアイライン。小柄ながらも、何故か目を引かれ、彼女と数秒間見つめ合った。

これが、すべての始まりの夜だったー。

この出会いが私の心を引っ掻き回すことになるなんて、この時の私は全く想像していなかった。

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