2011.11.21
銀座で輝く、気鋭の話題店。 Vol.3綾 AYA
一期一会の食材を使った和食とワインのマリアージュに出逢う
銀座の正統な和食店となると、どうしても敷居が高いというイメージがつきものだが、今年8月にオープンした『綾AYA』はいい意味で時代の空気感を取り入れた店と言えるだろう。
料理長の春田一行氏は、この道35年の熟練の料理人だ。和食ひと筋でここまでやってきた。「僕に出来ることは料理だけですから」と言うが、その腕前は料理を見れば一目瞭然。昔ながらの和食の技法に独自の感性をしのばせ、食べ手の記憶にしっかりと刻まれるひと皿を生みだす。どの料理からも確かな“基盤”を感じることができ、味わいの全てに絶対的な安定感がある。昼は3種のコースのみだが、夜は単品でのオーダーも可能。遅めの時間帯であれば、軽く料理をつまみながらワインを飲むという使い方も出来る。
「場所柄もあって、ひとりでお見えになるお客様も多い」ゆえの気遣いが随所に見える。もうひとつ、この店の核となるのは、広尾の『レストランJ』や某有名店で支配人を務めたサービス兼オーナーの長谷川福広氏がセレクトするワインだろう。ボトルはフランスやイタリアを中心に約70種揃え、グラスは常時15種も用意するという。
「料理に合うワインというのは基本ですが、いま個人的に地方色豊かなイタリアのものに注目しています。繊細な味わいで和食とも相性がいいんですよ」と長谷川氏。氏がセレクトするワインが春田氏の料理にぴたりと寄りそう感じは、まさに“阿吽の呼吸”と言ったところだ。
銀座の地にありながら、あくまでも自然体。上質を追求しながらも、気張りを感じさせないからこそ居心地がいい。「銀座は知れば知るほど奥が深い。人が街を作っているんだなぁと、つくづく感じます。だからこそ、ここにいる人間が元気でなくちゃ!」と笑顔の春田氏。店を作るのが人ならば、街を作るのも人。いつの時代も銀座が人の心を惹きつけてやまない理由が、はっきりと見えた。
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