金より愛子 Vol.3

「男の愛情は女にかける金額に比例する」と言い張る女を黙らせた、ホームパーティーの救世主

結婚に必要なのは、お金or愛?

それは、女にとって永遠のテーマである。

“最後は愛が勝つ”と信じたくてもそれは理想論だということに、女たちは徐々に気づいていくのだ。

しかし「お金より愛が勝つ」と言い切る、ある女がいた。

その名は、愛子。

金に糸目がない女だらけの東京において、愛子は信念を貫き、幸せな結婚生活を勝ちとれるのか?

広告代理店で働く29歳の愛子は、大手通信会社勤務の知樹と結婚を決め、幸せな毎日を過ごしている。

一方、同時期に医者との結婚を決めた親友の明日香は、いつか絶対、愛子に「愛より金」だと認めさせてみせると固い誓いを立てていた。


“男の愛情の大きさは、女にいくらお金をかけるかに比例するの。”

大学時代から、明日香がいつも隣で口癖のように言っているのを、愛子はこれまで笑って聞き流していた。だけど今日に限って、その言葉が蘇り、頭から離れない。

サークルの友人たちと明日香の渋谷のマンションを訪れた日の夜、自宅で夕飯の皿洗いをしながら、愛子はその日明日香と交わした会話を思い返していた—。


「ねえ、明日香は公平さんのどういうところが一番好きなの!?」

友人のひとりにそう尋ねられたとき、明日香はうっとりとした目つきで言った。

「サプライズのギフトをたくさんくれるところとか、たまの休みの日には必ず美味しいレストランに連れてってくれるところが好き。私愛されてるんだって、心の底から実感できるの」

そして明日香は自分のスマホを取り出し、レストランで食べた料理の写真を次々に見せた。

「おとといは『レフェルヴェソンス』でしょ、先週は『虎白』、あっそれから『鮨さいとう』も行ったかなあ…」

有名店の名前を並べながら、弾んだ声で話をしている。

—明日香、あんなに得意だったのに、料理はしなくなっちゃったのかな…。

愛子は明日香を見つめながら、もう何年も昔、よく彼女が料理を作ってくれたことをふと思い出した。新入社員の頃、愛子が仕事で辛い思いをした日には必ず家に駆けつけて、得意料理の親子丼を作ってくれたのだ。

「愛子は?」

友人に唐突に名前を呼ばれ、我に返った。

「愛子は、知樹くんとはどんな感じ?」

「うちは、いたって平凡な毎日だよ。外食もあまりしないし、夜はほとんど毎日、家でご飯食べて過ごしてるかな」

愛子が笑顔で答えると、明日香が口を挟む。

「ふうん…。知樹くん、料理上手だもんね。でも、たまにはお願いして美味しいレストランでご馳走してもらったら?一応まだ結婚前なんだから、いつも家なんて味気ないでしょう」

そして明日香は付け加えた。

「それに、いくら料理上手でも、所詮プロの腕前にはかなうわけないしね」

愛子は、笑って頷いたが、心には霧がかかったように、なんだか気分が晴れなかった。

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