SPECIAL TALK Vol.38

~大切なのは一歩踏み出すこと恐れずに、はじめればいい~

24歳で起業そしてメガネに着目する

金丸:ご兄弟は?

田中:兄がふたりいまして、私は3人兄弟の末っ子です。

金丸:子どもの頃から商売や起業に興味があったのですか?

田中:ありましたね。母の実家も商売をやっていたので、漠然とですが、いつかは自分もと思っていました。

金丸:そうして20代で起業されたんですよね。

田中:はい。24歳のときに地元の前橋で、服飾雑貨の店を。

金丸:そこから、どうしてメガネに? そもそも田中さんは、目が悪いんですか?

田中:いや、まったく悪くないです(笑)。近頃老眼にはなってきましたが、それまではメガネをかけたことがなくて、メガネのことなんて全然知りませんでした。

金丸:それなのにメガネ(笑)。

田中:だから、逆によかったんだと思うのです。

金丸:先入観なく、ゼロベースで考えることができたと?

田中:そうですね。メガネをかけていたら、その常識のなかで物事を考えて、いまのようなビジネスは生まれなかったと思います。

金丸:ではメガネに注目したきっかけは、何だったのですか?

田中:2000年に韓国を旅行したとき、友人が「メガネが安い! 3,000円でおしゃれなメガネが買える」って喜んでいたのです。話を聞くと、日本だと3万円はするらしくて、どうしてそんなに値段が違うのだろうと考えたのがきっかけです。それで帰国後、すぐメガネの市場調査を始めました。実際にメガネ屋にも訪れてみたら、アパレルや雑貨のお店に比べて正直おしゃれではないし、フレームの品揃えは少なくて値段も高い。しかも買ってすぐに持ち帰れない。驚きました。

金丸:当時はそれが当たり前でしたから。

田中:そうなのですよ。だから、これはチャンスだなと思いました。おしゃれで品揃えが豊富で、価格も手頃なメガネがその場で手に入る店をつくれば、必ず支持されるはずだと。翌年の2001年には、JINSの1号店をオープンしました。価格はレンズ代込みで5000円。それまで3万円するのが常識でしたから、あっという間に口コミで広まりました。お客様が殺到しすぎて、昼過ぎにはその日の販売を終了せざるをえないくらいに。

金丸:それはすごい。メガネ業界の革命ですよ。ところで1号店は前橋に?

田中:いいえ。福岡の天神です。

金丸:ええっ。なんでまた?

田中:人のご縁ですね。群馬の高崎にビブレがあり、そこの店長と付き合いがありまして。その方が天神ビブレに転勤になり、「記念すべき1号店は、天神でやらないか?」と声をかけていただいたのです。

金丸:ご縁とはいえ、福岡のマーケットって、新しいビジネスを検証するには一番手頃だと言われています。JINSにとっては最高の場所でのスタートだったかもしれませんね。

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