私たち、騙された? Vol.5

「“とりあえず”今の会社にいるよ」とくすぶり気味の男を目前に、気づいてしまった本当のキモチ

「大企業に入れば、一生安泰」

昔からそう教えられて育ってきた。

有名大学を卒業し、誰もが知っている大企業に入社。

安定した生活を送り、結婚し子供を育て、定年後は年金と退職金で優雅に暮らす。それが一番の幸せだ、と。

丸の内にある大手総合商社に勤める美貴(26)も、そう信じてきたうちの一人。

元彼・タクヤと久しぶりの再会果たした美貴。想像以上の変貌を遂げた彼の成長ぶりに驚き、同じ3年間を過ごした自分との差に戸惑いを隠せない。

それに加え、食事会で商社の一般職の仕事は“お茶出しなのか?”と言われ、ショックを隠せない美貴に、タクヤがかけた言葉とは…?


「あれ、美貴?」

お医者さんとのお食事会の帰り道、美貴は六本木通りで仕事帰りのタクヤに会った。

お医者さんとの食事会は散々で、一人の男性が放った「商社の一般職って、受付とかお茶出し?」という一言によって、変な空気を消せないまま解散となった。

「美貴、よかったら軽くお茶でもどう?」

自分の仕事が認められない悔しさと悲しさで、きっと浮かない顔をしていたであろう美貴に、タクヤは何も聞かず、最近見たアクション映画の話をしながらけやき坂のスタバまで歩いてくれた。

タクヤが買ってくれたホットのソイラテの温かさ以上に、タクヤの何気ない優しさが美貴の心に沁みた。

「タクヤ、私…。」

エミリに自分の現状をもったいないと言われたこと、タクヤの変貌ぶりに焦りを感じたこと、お医者さんに自分の仕事を“お茶出し”だと思われていたこと。

「私、今実は仕事のことで悩んでいて…。」

美貴は自分の中のモヤモヤを伝えたいが、上手く言葉が出てこない。

「この間会った時、俺の話ばっかりしちゃって美貴の話は全然聞かなかったよね、ごめんね。商社の仕事は、どう?」

タクヤは昔から美貴が話しやすいように、優しいパスを出してくれる。

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