私たち、騙された? Vol.2

私たち、騙された?:年功序列はまだ消えない。雑務を押しつける、40代"お姉さま"の超えられない壁

「大企業に入れば、一生安泰」

昔からそう教えられて育ってきた。

有名大学を卒業し、誰もが知っている大企業に入社。

安定した生活を送り、結婚し子供を育て、定年後は年金と退職金で優雅に暮らす。それが一番の幸せだ、と。

財閥系の総合商社に勤める美貴(26)も、そう信じてきたうちの一人。

久しぶりに再会した友人のエミリに、「将来、会社が存在する保証はない」と言われ、動揺を隠せない美貴。

崩壊する”大企業”神話に対し、美貴は何を思う…?


―20年後に給料が上がる保証なんてない、か…

先週エミリに言われた言葉が耳から離れず、どうも仕事に身が入らない。

気持ちを切り替えようとコーヒーを飲みながら、40代の“お姉さま”達が楽しそうに談笑している様子を眺める。

―あ、由美子さん、またネイル変えてる…

“お姉さま”達の美意識は、どこからそのモチベーションが湧いてくるのかと思うほど高い。

爪は綺麗に手入れされ、髪のメンテナンスも怠らない。メイク直しにも抜かりがなく、常に(ややバブルの香りが残る)ばっちりメイクを保っている。

“2倍になった給料”で買ったであろう上質な洋服やバッグで身を固め、自分にかけるお金は惜しまないのが彼女達のスタイルだ。

彼女達の関心事はあくまで“外見磨き”であり、キャリアアップやスキルアップではない。

定年までの残り十数年間を、手慣れたルーティーンワークで凌ぎ、若さと華やかさを保てるように、高いお給料で着飾るのだ。

エミリの言うとおり、美貴と40代の”お姉さま”達とでは生きる時代が違う。バブルの残り香が漂う彼女達が言うことを信じてきた自分が恥ずかしくなった。

「美貴ちゃん、この書類のコピーとってもらえる?」
「はい…」

コピー取りや郵便物整理などの雑務は、まだまだ部内では下っ端の美貴の仕事だ。

―優秀だった美貴が、もったいない気もするけど。

エミリに言われた「もったいない」という言葉が美貴の中で引っかかっていた。これまで自分の生活には満足していたし、到底そんな発想はなかった。

だが自分も、いつかコピーさえ若手に押しつけるような“お姉さま”の一人になるのかと思うと、エミリの言うこともわからなくもないような気がした。

この記事へのコメント

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No Name
どこが知的美人なんだか、、ステータスでしか男を見てないクズじゃん笑
2017/10/06 06:2584返信2件
No Name
「優太を横目に、美貴は気がつけばカバンから携帯を取り出し、タクヤの連絡先を探していた」

清々しいクズwwwww
2017/10/06 09:3677返信1件
No Name
大企業なら安定と言えるわけじゃないけど、どういう選択をするかはその人の性格を表しているから、人を見る要素の一つにするのは否定しない。タクヤは物事を飄々とこなしつつチャレンジしていくタイプに感じるし、優太は困難な局面で逃げ出す人かもしれない。
しかし、東カレに出てくる女の子に『糟糠の妻』ってのはおらんのかね??みんな上澄みのいいとこ取りを狙うばかり。

あ、それから。
バブルを謳歌したのって40代後
半だよね?40代でも前半の設定ならお酒が飲めないうちにバブル崩壊ですから、それこそバブルの残り香しか知らない。
2017/10/06 06:5047返信2件
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