あなたの部屋はそれほど Vol.3

私との夢を、他の女と実現させた元彼。“番町”ブランドを愛する一族が購入した、千鳥ヶ淵の正統派物件

「うち、くる?」

男の口からその言葉が零れた瞬間、女心は様々な感情で渦巻く。

高揚感、好奇心、そして、警戒心。

大手出版社で編集を務める由貴・29歳。

デート相手は星の数ほど、しかし少々ひねくれたワケありの彼女は、彼らの個性やライフスタイルが如実に表れる部屋を分析しながら、“男”という生き物を学んでいく。

これまで外資マーケターの高輪の部屋港区おじさんの六本木一丁目の部屋を訪れたが、今回は...?


「それでは、新郎新婦を拍手でお迎えください~!」

司会の合図で、パレスホテル東京の披露宴会場に入場した幸せそうな佑太郎と花嫁を、私はどうも、素直に祝福することができない。

元カノ......といっても、もう10年以上も前、高校生の頃にママゴトのように付き合っただけだが、シレっと高校時代友人のテーブルに紛れ込ませる、彼ののほほんとした楽観主義は昔から変わっていない。

医者同士の結婚ということで、披露宴はかなり豪華だ。

装飾や食事・飲み物はもちろんだし、何より花嫁の高価そうなドレスと大ぶりな宝石に嫌でも目がいってしまう。

私は他の友人に気づかれないように小さく溜息をつきながら、テーブルに設置されていたプロフィールシートに視線を落とした。

裏面最後には“~Sweet Home~”と新婚夫婦の新居の住所が記載され、「お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください」なんて書かれていたため、さらにシラけた気分になる。

あの部屋に一番最初に立ち寄ったのは、他の誰でもない、私だったから。

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