あなたの部屋はそれほど Vol.2

「結婚なんてダサイ」が口癖の40歳男が、六本木一丁目の超高級レジデンスで見せた本性

「うち、くる?」

男の口からその言葉が零れた瞬間、女心は様々な感情で渦巻く。

高揚感、好奇心、そして、警戒心。

大手出版社で編集を務める由貴・29歳。

デート相手は星の数ほど、しかし少々ひねくれたワケありの彼女は、彼らの個性やライフスタイルが如実に表れる部屋を分析しながら、“男”という生き物を学んでいく。

前回は、外資マーケターの高輪の部屋を訪れたが、今回は...?


女は誰でもそうかもしれないが、“年上の男”という生き物の前で、私は警戒心がやや弱まってしまう。

「俺みたいなおじさんから見たら、バツイチの若い女性なんて、一番魅力的な存在だね。結婚なんてダサいもの、由貴ちゃんは捨てて大正解だよ。」

愛宕にある『精進料理 醍醐』の広々とした個室にて、椎名さんは鋭い眼光を向けて言った。取ってつけたようなお世辞だが、素直に嬉しいと思える。

「おじさんの身体には、こういう味が染みるんだよなぁ」

見た目に美しい八寸を口に運び、窓の外の美しいお庭を眺めながら、彼は少々行儀悪く足を崩した。

椎名さんは40歳だが、浅黒く艶のある肌と、異様に引き締まった身体のおかげでかなり若く見える。でも彼は、やたらと自分を“おじさん”呼ばわりするのだ。

「由貴ちゃんみたいな美少女と食事ができるおじさんなんて、俺は幸運だよね」

たぶん、自分なりに“おじさん”という身分が気に入っているのだろう。

だから私は敢えてそこには突っ込まずに、いつも“若い女”らしく振舞うようにしている。

適度に素直に、生意気に。

「私だって、椎名さんみたいな男性とご一緒できるの、楽しいですよ」

実際、29歳でバツイチの自分を美少女扱いしてくれる素敵な年上男に恵まれるなんて、私こそ幸運である。

“おじさん”でいてくれる限り、私はたっぷり彼に甘え、都合よくこの関係を楽しめるから。

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