にゃんにゃんOL物語 Vol.10

勝負デート前日。貯金ゼロでも1枚8千円のシートマスクで、“セレブ妻”を夢見るにゃんにゃんOL

定時帰りのOLたち。

”安定”という鎧を手に入れた彼女たちは保守的で、誰かが幸せにしてくれるのを待っている。

丸の内の大手損保会社に勤める愛華(26)も、その一人。典型的な腰掛けOLである彼女には、実はこんなあだ名がある。

“にゃんにゃんOL”、と。

そんな愛華に対し、檄を飛ばす元OLのアリサ(29)。しかし男女の不平等さに疑問を覚え始め、専業主婦より働きたいと思うなど、変化し始めた愛華だったが...?



—愛華ちゃん、今週金曜20時待ち合わせで。


和樹さんからのLINEを見て、思わず心が踊る。和樹さんからご飯に誘われるのは、今回で3度目だった。

これまでの私と和樹さんの関係は順調に進んでおり、心は既に準備万端だ。

デート前夜には特別な日にしか使わない、1枚8千円もするスペシャルパックをしながら、半身浴をたっぷり1時間。

そしてデート当日は、会社が終わってから化粧室に立てこもった。

リキッドファンデを念入りに重ね、しかし肌に重さが出ないように、少し明るめのお粉をはたいて、ゆるふわ肌を作り上げる。

そんな影の努力が功を奏したのか、食事中、待ちわびていた一言が飛び出した。

「愛華ちゃん、付き合って欲しい。」

そうストレートに言われた時、胸の高鳴りがピークを迎えると同時に、安堵の気持ちで包まれる。


—あぁこれで私は一生、家賃や光熱費を自分で払う重荷から解放されたのね。


しかし、ふとお会計の時に言われた言葉に引っかかりを覚える。

「ここは、僕が出しとくね。」

幸せの絶頂を迎えたはずなのに、心がザワザワと音を立て始めた。

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