SPECIAL TALK Vol.36

~こんなに面白い時代に生きているのだから、新しいチャレンジはやめられない~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

自分で考えて実行する必要なのは〝子ども目線〞

小林:思い込みというのは、化粧品メーカーにもあります。製品がヒットするのは、ニーズにピタッと合うからだけど、会社が大きくなればなるほどいろんな制約が生まれて、消費者のニーズを読み取れなくなります。

金丸:業界内の競争に目が向いて、消費者目線になっていないということですか?

小林:そうですね。私は恩返しということもあって、コーセーの商品企画開発部向けに講習会をしているんですね。

金丸:小林先生とは、親子ぐらいの歳の差があるんじゃないですか?

小林:30代の人が中心だから、親子どころか孫ぐらいですよ(笑)。接していて思うのは、「間違っちゃいけない」という思いがすごく強いんです。マニュアルの枠を飛び越えられないし、やりたいことがあっても「無理だ、できない」と言い訳してしまう。そんなのに縛られないで、自分がいいと思う商品、欲しいと思う商品を熱く提案すればいいじゃない、って話しているんです。

金丸:小林先生のお話を伺っていると、子どもの頃に見た大人の姿がすごく影響を与えているように思います。先生自身がとても素敵な方ですし、世の中の常識を疑う姿勢を常に持たれている。

小林:周りにすごい大人がいたおかげですね。もちろん、そうじゃない人もいましたけど。

金丸:何が正しいとか、何がかっこいいとか、そういう〝子ども目線〞を忘れていない。それが小林先生の若さの秘訣だと、改めて思いました。

小林:私は昭和10年に生まれて本当によかったと思っています。今の人からすれば、貧しくて悲惨な時代なんでしょうけど、戦前・戦中・戦後と、いろんな大人の姿を見ることができました。戦地から帰ってきて口をつぐむ人がいれば、武勇伝を周囲にふれ回る人もいました。戦争が人を変えてしまったんです。そういう姿を見て、ああいう悲惨な戦争は絶対にやっちゃいけないと感じました。それにメイクアップアーティストになって、様々な立場の人からいろいろなジャンルのお話を聞けたのは、どんな優秀な大学に行くよりもいい勉強になりました。私も興味津々で話を聞くので、すごく良い顔でお話をしてくださる。この経験から、写真を撮る時に良い表情になってもらうには、その人の専門分野の話をしてもらうのがいい、と気付くこともありました。

金丸:小林先生は、好奇心も旺盛ですよね。デジタルにも全然抵抗がなくて、インスタグラムやフェイスブックも、毎日のようにアップされています。その点、男性はダメ。「もう歳だから、新しいものはいいや」って言い訳しちゃう。

小林:そんなのもったいないですよ。どんどん新しい技術が生まれる、こんな面白い時代なのに。私、これからの世界がどうなっていくのか、すごく興味があるんです。最新テクノロジーも使うだけじゃなくて、もっと勉強したいと思っています。

金丸:何か考えてらっしゃることはあるんですか?

小林:そうですね。私のこれからの使命はデジタルとアナログなど、距離が遠いと思われているところの壁を溶かす、ということですね。美容の世界は非常にアナログですし、一言で美容と言っても、たくさんの領域があって、それぞれに壁があります。その壁を取り払うような活動ができるといいなと思っています。

金丸:小林先生、若さがみなぎっています(笑)。まだまだ元気でご活躍してもらわなくてはいけませんね。今後も先生の〝照子イズム〞を多くの女性たちに伝えていってほしいです。今日は本当にありがとうございました。

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