年内婚約 2017 Vol.5

バスルームに直進した、絶対に外れない“女の勘”。男の口から出た咄嗟の言い訳とは?

―私、年内に婚約するー

都心で煌びやかな生活を送る麻里・28歳は、ある日突然、こんな決意を固めた。

というのも、麻里は気づいてしまったのだ。

“女は30歳過ぎてからが魅力的?年齢を重ねるほど、色気が増す?”

女の市場価値を冷静に受け止めれば、20代で結婚した方が絶対お得に決まっている。

掲げた目標は“今年中にプロポーズされる”こと。ヤバい元彼に3年間も費やした麻里は本気の婚活を決意したが、優良物件の外銀男広告マンとのデートがうまく行かず、元彼と会ってしまう


「...麻里ちゃん、コレ、ずっと欲しがってたでしょ?」

サトシが取り出したカルティエの箱の中には、ダイヤ付きのピンクゴールドのベニュワールの時計が、上品におさまっていた。

『珀狼』のカウンター席の薄暗い照明をうけて、それはまさに目が眩むような輝きを放っている。

「うそ......どうして......」

これまでもサトシは、ケンカや浮気のたびに、こうしてお詫びのプレゼントをサプライズで用意することがあった。

しかし、せいぜい30万くらいのブランドバッグやアクセサリーの類である。イヤらしい話ではあるが、この時計は金額的に10倍くらいするだろう。これまでの誕生日プレゼントのレベルも超えている。

「これ、麻里ちゃんにすごく似合うと思うよ。ねぇ、付けてみてよ」

「いや、でも......私たち、別れたのよ?こんな高価なもの、受け取れないわ」

麻里は小さく呟くように抵抗しながらも、ダイヤの輝きから目を逸らすことができない。

「だから...これで許してよ。俺が君を大好きなの知ってるでしょ。別れるなんて、考えられないよ」

サトシは猫なで声で言うと、戸惑う麻里の左手首をとり、素早く時計をはめた。

「ほら、超可愛いじゃん」

麻里は思わず息を飲む。

サトシの言う通り、その美しい時計は、自分の華奢な手首に大層よく似合った。

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