港区内格差 Vol.15

「最近の子は、食事会しない」なんて嘘。呼ばれてないだけと認めぬ、女の勘違い

港区であれば東京の頂点であるという発想は、正しいようで正しくはない。

人口約25万人が生息するこの狭い街の中にも、愕然たる格差が存在する。

港区外の東京都民から見ると一見理解できない世界が、そこでは繰り広げられる。

これはそんな“港区内格差”を、凛子という32歳・港区歴10年の女性の視点から光を当て、その暗部をも浮き立たせる物語である。


港区タワマン・オワコン説に異論を唱え、三田在住なのに麻布十番と言うCAに出会ったり、本当に豊かな生活とは何かを考えた。


「...という訳で、まさかの品川区民になるかもしれなくて」

雅紀から突然の“引っ越す宣言”を受けた翌日、グランド ハイアット 東京の『チャイナルーム』でランチを食べながら、急遽美奈子と作戦会議を開いた。

「港区にいない凛子なんて、想像できない。生粋の港区女子だったのに。」

美奈子がお腹を抱えて笑っている。

そんなにおかしなことでもないと思うが、本人は相当笑いのツボに入ったらしい。

美奈子が二日酔いの時に必ずオーダーする「コラーゲン鶏煮込みそば」よりも、興味の矛先は凛子へと向けられている。

「でも最近港区にも飽きてきたし、ちょうど良い卒業の時なのかも。昔に比べて面白い人も、派手な遊びも減ってきてるしね。」

美奈子に向けて放った言葉のはずなのに、言ったそばからそれはまるで凛子自身へ向けた言葉のような気がして、何故か胸がチクリと痛む。

「本当にそう。最近、つまらなくなったよね。」

美奈子が大きく頷いたとき、背後から聞こえた馴染みのある声に箸が止まった。

「港区がつまらなくなった?それは凛子さんが港区内の、次のステージへ行かれたからでは?」

顔を上げると、市原が若い女性を連れてにこやかに立っていた。

「本当の楽しさは、まだまだここからですよ。」

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