
~どんな時代にも必ずチャンスはある。ポジティブにぶつかっていくべき~
事業失敗の原因を突き詰めて考える
淺野:でも次第に母も病院から離れられなくなりました。事業もいろいろやってはみたものの、どれも大成しなかった。
金丸:トータルで、いくつぐらいの事業をやったのですか?
淺野:10を超えてますね。でもどれも失敗。どうして失敗したのか、自分なりに反省して突き詰めて考えてみたんです。そうしてわかったのが、天職にこだわり過ぎていたことが原因じゃないかと。
金丸:それは事業内容にこだわり過ぎていた、ということですか?
淺野:そうです。もちろん仕事が天職なら最高だけど、天職なんて、そうそう見つかるもんじゃない。きっと巡り合うことは難しい。そう考えることにしました。
金丸:じゃあ、今度は何を基準に事業を選ぼうと?
淺野:話をラーメン屋に戻すと、母に親孝行をしている間、私は当然ながら自分の事業に集中できません。でもその間も、人に貸していたラーメン屋だけは、毎月30万円を運んできてくれたわけです。たとえばの話ですが、私が総理大臣になれるかというと、まあ、なれませんよね。
金丸:まあ難しいでしょうね(笑)。
淺野:では、総理大臣と同じぐらいのお金を得ることはできるだろうか。1980年代、総理大臣の年収は3,000万円台でした。私は1軒のラーメン屋から月々30万円を得ている。頑張って働いて、毎年1軒ずつ増やすことができれば、10年で10軒。このぐらいの規模なら、不可能ではなさそうだと。
金丸:月300万円なら、年間で3,600万円。なるほど。総理大臣と並びますね。
淺野:だからラーメン屋と同じように、ワンユニットで30万円儲かる商売を探し始めました。そうして転機が訪れたのが、1985年。
金丸:30歳を過ぎた頃ですね。何があったんですか?
淺野:たまたま映画『E.T.』を観たら、オープニングがピザのデリバリーのシーンだった。そのとき「あっ、これ面白いかも」ってピンと来たんです。
金丸:そうだったんですか?! 映画をきっかけに始めたのが、ピザーラだった。面白い。それに私と淺野さん、意外なところに共通点があります。私も自分の会社を「フューチャー」と名付けたきっかけは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんです。
淺野:ええっ、知らなかった(笑)。
金丸:それにしても、ようやくピザにたどり着きましたね。
淺野:ここまで10回以上も失敗を重ねてますからね。