SPECIAL TALK Vol.33

~どんな時代にも必ずチャンスはある。ポジティブにぶつかっていくべき~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、経済同友会副代表幹事、NIRA理事長を務める。

フランチャイズ加盟を拒絶され、ピザーラが誕生

淺野:1985年は、ちょうどアメリカの宅配ピザチェーンが日本に上陸した年なんです。だから最初は、そこに電話をしたんですけど、「うちはフランチャイズはやりません」という返事。じゃあということで、自分たちで一からやることにしました。

金丸:淺野さんにやらせておけばよかったのに。もったいない(笑)。でも面白いのは、餓え死にさえしなければと思って始めたラーメン屋が、思考を転換させるきっかけになり、思わぬ突破口になったんですね。

淺野:そうです。あとは一生懸命働いて、店の数を10倍にすればいい。夫婦ふたりで毎日人の倍働けば、間違いなくできると。

金丸:あの、いま急に奥様が登場しましたけど(笑)。いつの間に結婚されていたんですか?

淺野:出会ったのは、学生だった22歳のときです。いまはうちの会社の社長をしています。

金丸:じゃあ奥様と二人三脚で、ピザーラを大きくしてきたんですね。

淺野:ピザのデリバリーをやろうと決めたとき、最初にふたりで話したのは「日本人向けのピザが日本にはない」ということです。たとえば焼き鳥や照り焼きは、日本の素晴らしい食文化。それとピザを合わせてみたら、和風のピザができるんじゃないかって。

金丸:日本人の味覚に合うように、カスタマイズしようとした。

淺野:そうです。日本人はマヨネーズも大好きだから、マヨネーズを使えば人気が出るに違いないとか。いまでは日本風ピザのトッピングとして定番ですけど、マヨネーズがのったピザなんて、当時はありませんでしたから。あとは、女性をターゲットにしたピザを作っていこうという話もしましたね。1年半ほど、徹底的に日本人に合うピザを考え抜いて、1987年にピザーラの1号店をオープンしました。

金丸:経営は順調でしたか?

淺野:順調に伸びて、5年後の1992年に一気に展開を加速させました。ちょうどバブルが崩壊して、日本の景気がどん底に落ちていたときです。

金丸:そこも私と似てますね。私の会社が注目されはじめたのも、ちょうどその頃です。会社を立ち上げたのは1989年ですが、バブル景気の真っ只中で、ITコストの削減やダウンサイジングの営業をかけても、見向きもされなかった。それがバブルが弾けた途端、どの企業も手の平を返したように電話をかけてきて、「この間の話だけど、もう1回聞かせてくれないかな」なんて言ってきて。

淺野:やっぱりチャンスはどこに転がっているかわからない(笑)。面白いよね。

成功するまで挑戦することが真の挑戦

金丸:ピザーラの大成功に至るまで何度も失敗を繰り返してきたわけですが、淺野さんにとって、失敗ってどんなものでしょうか?

淺野:そうですね。失敗を経験した人って、必ず成功者になれると思います。でも現実は、成功者ばかりじゃない。それはなぜかというと、失敗したままで終わってしまうからなんです。途中であきらめてしまう。そうならないためには、やっぱりしぶとくいくしかありません。

金丸:同感です。成功するには、とにかくチャレンジし続けるしかない。新しい挑戦を始めたなら、ずっと挑戦し続ければいいんだけど、大半の人が3回ぐらいでやめちゃうんですよね。成功から始まる挑戦なんて存在しない。失敗を乗り越えることこそが挑戦なのに。

淺野:そう。やめちゃだめです。

金丸:だから挑戦って、ある意味〝塊〞みたいなもの。失敗もひっくるめて成功するまでの一連の行為が、挑戦じゃないかと思うんです。

淺野:そのモチベーションを持ち続けるには、やっぱり最初の目標に立ち返ることが大事ですよね。

金丸:淺野さんの場合、最初の目標は「淺野家の再興」じゃないですか。時折思い返しては、ハッとなって原点に戻る。だからミッションって、すごく重要です。加えて淺野さんは旺盛な好奇心とパッション、どん底でもめげないポジティブな性格を持ち併せていた。これらのすべてが、成功の秘訣なんでしょうね。

淺野:なかでもポジティブって大切ですよ。どん底のときに悲観主義だと、どんどん落ち込むだけですから。

金丸:では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

淺野:いまの時代は変化が激しい。だから挑戦することに、怖じ気づいてしまうかもしれません。でもどんな時代にも、必ずチャンスはあります。しかも誰にでも平等に与えられています。ただ、そのチャンスに気づいていないだけなんです。だから失敗を怖れず、ポジティブにぶつかっていってほしいですね。挑戦あるのみです。

金丸:やはりアンテナを張ってチャンスを掴んできた淺野さんがおっしゃると、説得力がありますね。

淺野:10年後、20年後に「ああ、実はあのとき、こんなチャンスがあったんだな」と振り返ることは簡単だけど、いまそれに気づくかどうかが分かれ道、ですよね。

金丸:若い人たちは、チャンスに気づくことができるでしょうか?

淺野:できると思いますよ。自分の若い頃に比べると、起業する人も増えているし、大いに期待しています。

金丸:淺野さんの生き方、チャレンジ精神に負けず、若い人には1度や2度の失敗がなんだと果敢に挑戦してほしいですね。あきらめずにチャレンジし続ければ、必ず成功が待っています。本日は誠にありがとうございました。

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