2011.02.21
未来の老舗候補! いま、期待の鮨屋 Vol.4恵比寿ほし
野菜料理を組み込んで、独自性を披露
鮨屋で野菜。そう聞くと、山の幸を握る、高知の田舎鮨のようなものを思い浮かべるかもしれないが、さにあらず。この日、先付で登場したのは軽く茹でた野菜を、西京味噌のソースで食べさせる逸品で、趣はまさに和風バーニャカウダ。ほかにも、菜の花を添えたタコとタケノコの炊き合わせがあったり、貝類と春野菜のヌタがあったり。3種ある夜のおまかせ、すべてで飲兵衛の心を鷲掴みにする野菜料理が繰り出されるのだ。
店主の星廣幸氏は言う。「銀座と方向性は一緒ですが、より緩急を意識しながらコースを組み立てています」
オープンしたのは今年の2月2日。『鮨銀座 天川』が開いた新店だ。「鮨屋は魚が1番ですが、そこに野菜を加えることにより完全無欠の料理が完成する」と、銀座時代と同じ哲学を貫く。
鮨職人として40年のキャリアを持つ店主が野菜の魅力に気付いたのは福島・会津の実家から届く朝採れ野菜を食してから。「サッと火を入れただけで甘さが立つ」新鮮野菜の旨さに開眼。以来、京や加賀の伝統野菜なども積極的に仕入れ、野菜料理で和ませつつ、握りも堪能できる、独自のスタイルを築き上げた。魚と野菜。両者から感じるのは紛うことなき季節感で、だからこそ、自ずと感謝の念が込み上げる。
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