二人の男で Vol.9

LINEに隠された、想像を絶する彼女の一面。秘密を共有した男女のゆくえ

愛するか、愛されるか。

東京の賢き女は愛されることを選び、愚かな女は愛を貫くというのは、本当だろうか。

堅実な優しい男と、危険な色香漂う男。

麗しき20代の女にとって、対極にある“二人の男”の間で揺れ動くのは、もはや宿命と言える。

そんな彼女の苦しみが、貴方には分かるだろうか。

主人公の詩織・29歳は、年下の男・正男と婚約中だが、年上の男・英一郎との道ならぬ恋にのめり込んでいく。そんな密会現場を偶然目撃したサキは嫉妬に燃え正男へ告げ口してしまった。


「サキさん、すみません!なんか、急に酔いが回っちゃったみたいで......」

婚約者の素行を知り動揺した正男は、サキのノースリーブのワンピースから艶めかしく伸びる二の腕に、誘われるように手を伸ばした。

しかしそれは一瞬のことで、正男はすぐさま我に返り、焦った様子で謝罪する。

―ほんと、律儀な子......

この晩、サキは十分に隙を作り、狡猾に正男を誘惑していたはずだ。しかしやはり彼は、酔いに任せて簡単に女に甘えるような男ではなかった。

それはサキを少し落胆させると同時に、自分の男を見る目に狂いはなかったと、淡い満足感を持たせもする。

「大丈夫、気にしないで...。私で良ければ、話くらいいつでも聞くから」

年上の女らしく、サキは上品で思慮深い、優し気な視線で正男を見つめてみる。

すると彼の瞳の奥には、婚約者への動揺と不安、そして自分への信頼と感謝の色を、しっかりと確認することができた。

―今日はこの辺にしておこう。あとは二人が壊れていくのを、ゆっくり観察するだけ......

サキが心の中で高笑いしていることに、正男が気づく術はない。

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