上京10年目 Vol.6

上京10年目:幸せそうな地元の女友達を前に、上京したことを初めて後悔した日

―東京にいる意味って、何だろう―。

仕事のため、夢のため、欲望のため……?

上京10年となる節目の年に、人はあらためて問う。

自分が東京にいる意味と、その答えを。

28歳の朝子もその一人。朝子が抱える東京への固執と葛藤は、どこに着地するのだろうか。

18歳で上京した朝子だが、このまま東京にいていいのかという迷いが芽生え、東京と故郷の間で気持ちが揺れ始める。法事で実家に帰り故郷への想いは募る一方だった。


「あらー、朝子ちゃん。また綺麗になったね」

法事のために集まった親戚のおばさんから、大げさなくらい大きな声で言われた。

本心かはわからないけど、褒められるともちろん嬉しいから、「ありがとうございます」って返すけど、最近は素直に喜べない。なぜなら、その後には大抵、この言葉が続くから。

「もうそろそろ、いい人もいるんやろ?」

つまり「結婚はまだか?」というおせっかい。“言ってもらえるうちが花”とはわかっているけど、まったくそんな予定がない今は、正直面倒にしか思えない。

「ぜんぜんまだですよ~」

笑ってそう返すけど「そんなん言って、本当はおるんやろ?」と笑いながら言われて、笑顔のまま無言で首を振ってやり過ごした。

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