昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。
その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。
時は、2017年の東京。
男性から山のように送られてくるLINEに対して、現代の姫君たちは何を想うのか。
桜の時期の食事会で出会い、その後六本木でデートした弘樹からのLINEに対し、返信しなかったさゆり。
その真相や、いかに。
目の前に座る、アメフト部出身のいかつい体型をした弘樹。クマさんのように可愛らしい彼は、最初から私のタイプだった。
女子校出身のせいか、昔からなぜか男気溢れる人に惹かれてしまう。
少年がそのまま大人になったかのような、まっすぐな瞳。商社マンにありがちな自意識過剰な様子もなく、自然体なところが魅力的だった。
「弘樹くんって、元アメフト部でしょ?」
恥かしそうに下を向いて笑う顔に、思わず胸が締め付けられる。
もうすぐ私は、28歳になる。でも仕事が忙しく、ろくに恋愛する時間すらなかった。
そろそろ結婚したい自分にとって、目の前に座る弘樹はまさしく優良物件そのもの。
―顔良し、性格良し、職業良し。
一人でそっと頷きながら、適当に相槌を打ちながらニコニコと話を聞いていた。
思いのほか弘樹との会話は弾み、次の約束をしようとした時、友人の真由が帰ると言うので一旦お開きになった。
「じゃあ、グループLINE作ろう。」
まるで食事会の儀式のようなこの行為。もう何度繰り返してきたのだろう。でも、今夜は弘樹に会えたから良しとしよう。
本当はもう一軒行きたかったが、今日はおしまい。新たな恋の予感を感じつつ、ふんわりと幸せなベールに包まれながら帰路に着いた。
この記事へのコメント
中岡さんとも、マメにやり取りしていたのかな?