たった1通のLINE。
その巧拙が恋愛の勝敗を決めかねないが、恋愛マニュアル情報は巷に数多くあれど、LINEの正解を教えてくれるコンテンツはほぼ見当たらない。
男女でLINEに対する捉え方は、全く異なるようだ。
あなたが送るそのLINE、気づかぬうちに間違えていないだろうか。
僕とさゆりの出会いは、ありふれた食事会だった。
勤め先の商社で、同じ部署の先輩である山岡さんが開いた食事会。
商社というブランドは未だ有効らしく、大概の女性は、会社名を言うと目の色を変えて食いついてくる。その変わり身の早さに、僕はいつも少し驚いてしまう。
この日もそんな感じだろうと思い、大した気合いも入れず、山岡さんから指定されたペルー料理店『ベポカ』へ向かった。
無類の肉好きなのでせめて食事は楽しもうと決めていたが、料理よりもそこにいたさゆりに惹かれた。
肩くらいで綺麗に揃えられた黒髪に、上品なニットのセットアップ。いわゆる“ゆるふわ系”女子が苦手な僕にとって、サバサバした姉御肌な彼女はタイプだった。
食事会に生産性はない、と思っていたが、たまには良い出会いもあるようだ。
「弘樹くんって、学生時代ラグビーかアメフトしてた?」
さゆりがそっと、僕の二の腕のふくらんだ部分を触ってくる。
最近のラグビーブームで、体格の良い俺は急に市民権を得た。(実際にはアメフト部に所属していたのだが、女性からするとアメフトもラグビーも一緒らしい。)
「体格の良い男性って、頼れる気がして素敵だよね。」
テンションが、最高値まで上がる。これは多いに脈アリだ。
遠回しに好きだと言われたような気分になり、すっかり舞い上がってしまう。そして何より、面白くて知的なさゆりとの会話は多いに盛り上がった。
しかし暫くして、さゆりの友達が朝早いということでお開きにしよう、と言う話になった。
「じゃあ、とりあえずグループLINE作ろうよ。」
山岡さんが仕切りながら、お互いQRコードを読み取りあい、食事会定番のグループLINEを作成する。
満開のピークは過ぎたが、次回はみんなで花見をしようと言うことで、グループ名は“お花見会”となった。
この記事へのコメント
コメントはまだありません。