Q2:男がレストランで見られている点は?
六本木の裏通りにある『トラットリア イル フィーゴ インゴルド』は駅から少し遠いにも関わらず、相変わらず混んでいて、にぎやかな店内には熱気が溢れていた。
何だか妙に緊張してしまい、テーブルに置かれた水を飲み干す。前回の流れを考えると、良い感じなことは間違いない。一人で色々思い巡らせているところに、さゆりは登場した。
「このお店、雰囲気よくて素敵だね。弘樹くんのオススメ教えて!」
「でしょ?ここのおすすめは骨つきのリブサーロインだから。これは絶対食べて欲しいな。」
響きだけでも美味しそう、と笑うさゆりを見て思わずこちらも笑顔になる。
「じゃあサラダとプロシュート、フリットもいけるかな?魚もいきたいよね。パスタは何がいい?」
「さすが元アメフト部。よく食べるね。」
今日のさゆりは、前回とうって変わって女性らしいタイトめのワンピースで、このスタイルもよく似合っていた。
「それ、どこで買ったの?」
遠回しに素敵だね、と言ってみたがさゆりに伝わっただろうか。
この日も会話は盛り上がり、居心地の良い時間が流れていく。ワインも二人で1本空け、グラスワインも2杯飲んだ後レモン・チェッロまで飲んだら完全に酔っ払ってしまった。
「今日はありがとう。楽しかったよ。」
送っていこうか?とも言いかけたが、初回は控えめにいこう。タクシーで帰るという彼女を先に乗せ、見送った。
翌日、二日酔いの頭を抱えながら起きるとさゆりからLINEが入っていた。それを見て、さり気なく次回への期待も匂わせる返信をする。
しかし、ここからさゆりからの返信は一向に来なくなった。
LINEのやり取りを見直してみるが、さゆりのテンション的にも僕が送ったLINEの内容的にも、機嫌を損なうようなポイントは見つからない。
誘い方がまずかったのか、忙しくてスケジュールがまだ分からないのか...
しつこく送るのもためらわれる。しかし気になって仕方ない。
一度だけスタンプを送ったが、結局返信はなかった。
既読スルーになった時、はじめて気がついた。さゆりは、もう僕に会う気はないようだ、と。
食事の時は、あんなに盛り上がったのに...
せっかくのチャンスを、一体僕はいつ棒に振ったのだろうか。携帯の画面を見つめながら、一人頭を抱えた。
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LINEの答え合わせ【A】一見何の落ち度もないLINE。個別LINEでの失点は?
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